このまえ新宿区立中央図書館へ行ったときのこと。

 

その時はまだ、その図書館が閉校した戸山中学のあとに

移って来たと知らなかったのですが

どう見ても校門という入り口から入ると

正面はどう見ても校庭で

その周りを囲んでいるのは

どう見ても校舎でした。

校庭の手前、左側が図書館になっていて

入り口を入ると、まず天井の低さに驚きました。

一番近くに受付カウンターがあり

各種手続きをするカウンターが奥の壁際にありました。

 

端的に言えば、昭和の町役場的な雰囲気だったので

ちょっとあっけにとられました。

でも肝心なのは中身なので

自分がいかに見栄えの良いハコモノ行政に馴染んでいるか

今さらながら気が付いたのでした。

 

さて新宿の歴史に関する本がある場所を聞くと

「ちょっと分かりにくいから」と係の人が案内してくれました。

 

そこは受付から続いている部屋の奥で

トンネルのような入り口を幾つも通り過ぎた先にありました。

 

案内してくれた人にお礼をいって

改めて書架と向かい合うと

なんともいえない感慨に襲われ、

しばし立ち尽くしたのでした。

 

向かい側には分厚い行政資料が並び

その反対側に、どれもかなり古びた新宿関係の単行本が並んでいます。

 

ここには紛れもない活字の世界がある!

 

このときを思い返すと

ほんの一瞬、辺りがセピア色に包まれた異世界で

自分もその中で異次元にワープしたように思えてきます。

 

活字中毒を自認する私でさえ

もはやネットから情報を得て暮らしていて

純粋に活字だけに頼るわけにはいかなくなっている。

 

その図書館の二階へ行けば

おそらく新刊書など新しい本がたくさんあるのでしょう。

でも自分が目指した書架に新入りは少なそうです。

かつてひたすら活字から情報を得た時代の勇者たちが

ひっそり佇んでいるような雰囲気です。

貸し出し禁止の赤いシールが貼ってある本もたくさんありました。

その赤いシールも懐かしく目に沁みます。

 

さて、我に返って書架を眺めたのですが

あまり隅々までよく見ませんでした。

ご馳走を一度に食べてしまうのが惜しくて(←どんだけ~)

今日は軽く流す程度に見ようと思ったもので。

 

そんななか、上の方の棚で琥珀色のオーラを放つ1冊が

目に飛び込んで来ました。

 

おお!これは…

 

ということで借りて来ましたぞ!

 

 

 

 

 

神田川 朝日新聞社会部 未来社刊

1982年4月15日第一刷発行

 

これは今から42年前の「現在」から変わりゆく神田川の姿と

共に生きた人たちを取材したもので

新聞社の社会部ならではの機動力と筆力を感じる内容です。

 

当時はまだ明治生まれの生き証人が健在で

かつての生業や町の様子を語ってくれたのですね。

今となっては、その時取材して歩いた記者さんが

時代の生き証人になりそうです。

 

実はもったいなくて(←おいおい)

まだ全部読んでいないのですが

河口の柳橋から神田川を遡る形で

秋葉原、神田、江戸川、神楽坂、音羽、牛込

高田馬場…(←私が読んだのはここまで)

などを経て水源の井の頭までの流れを辿っています。

 

ところで…

本の表紙の裏、(見返しとか表2とか呼ばれる所)には

江戸時代の古地図が描いてあります。

出典が分からないので、新たに描き起こしたものかもしれません。

これがね、面白いんですわ。

 

 

 

 

神田川 朝日新聞社会部 未来社刊の表2より

 

ボケボケですけどアセアセ

右端が高田馬場で、周りは田ばっかり!

なるほど早稲田ですわね。

 

その上に穴八幡があり

この画面からは見切れていますが

左上に赤城明神、並んで筑土八幡町

左隅には外堀の牛込御門、

市谷に八幡宮とあるのは亀岡八幡宮でしょうか。

やっぱり神社仏閣はタイムカプセルだなあ

なんて…

 

目が疲れてくると

この部分を眺めて楽しんだりして爆  笑

 

本の貸し出し期間は2週間。

これは長いようで、実は短い時間だと

最近しみじみ感じます。