いつもより少しゆっくり歩いていると、
いつもは気が付かなかったものが目に留まったり
いつもは聞き逃している「声なき声」に呼びとめられたり
のんびり麻布十番から六本木まで歩いて面白いものをいろいろ見つけました。
鳥居坂下の崖から上へ続いている階段。
いつもここを通るたびに「凄い地形だなあ」と思います。
台地を削って道を通したのでしょう。
崖の上にも門扉があって、きっちり閉まっています。
なんとなく・・・
この階段を登ると、知り合いの家があるような気がして
通るたびに見上げてしまいます。
六本木中学の崖下にある、真四角の建物
どこも締め切って今は使われていません。
もとは何だったのでしょうか。
住まいや店という感じではないですね。
崖の下で六本木に通じる広い道の傍らに、ちんまり建ってます。
何だったのかなあ・・・と思いながら写メしていたら
何となく後ろから呼ばれているような気がして振り返りました。
そこは大きなマンションの脇の、かなり広い駐車場。
その突き当たりは、やはり見上げるような崖。
崖の上には草木が生い茂っていましたが
よく見ると、きちんと手入れされていて、瀟洒な垣根がぐるりと崖の周りに建ってます。
その垣根がかなりオモムキがある感じだったので
かなり遠いけどダメモトで写そうかな、と携帯を取り出していると
頭上を一羽のカラスが、かなり低空飛行で飛びながら
鋭い声で鳴きました。
また、カラス!
このまえ、芝公園の大きな木の根元が面白い形なので写そうと、
公園の仕切りを越えたとたん、3羽ほどのカラスがやってきて
枝に留まって鳴きながらこっちをじっと見ていました。
何か「目には見えないもの」を越えると必ずカラスが現れるようです。
でも攻撃する様子ではなく、見守っている感じ。
もうカラスとはお友達ですわ。
ダメモトで撮った割には、一応ちゃんと写ってますね!?
肉眼では、薄暗く見えたけど、レンズを向けると木々が
ダイアモンドみたいにピカッ、ピカッと光りました。
なんだか不思議・・・
そのとき横のマンションから男の人が出てきて
私の後ろを通って出口に近い車に乗り込み、エンジンを吹かし始めました。
なんとなく追いたてられてる感じです。
「長居は無用」といわれてるみたい?
呼び止められたり、追いたてられたり、忙しいこっちゃ
人が利用するための建物から人が立ち去ったあとは
もちろん空ろな感じなんだけど
からっぽになった店は、それ自体の存在感が際立つものなんだな、
と思ったのは、下の建物の前を通ったとき。
ビル全体を締め切ってある、1階の半分は凝った作り。
「ビューティーサロン」と書いてあった。
雑草の生え方で、店じまいをしてから随分経つらしいというのが分かります。
同じビルの左半分。
パブかライブハウスだった?
最後のお客が出ていってから、どのくらい経つんだろう。
まだそのときの、ざわめきやタバコの煙やため息が、
かすかに残っているみたい。
車の騒音や雑踏で聞き取れないけれど
もしかしたら・・・
夜明けまえのほんのいっとき
心の耳を澄ませば、不思議な調べを聴けるかもしれませんね。