今朝は、雨が降っているような降っていないような、あいまいな空模様。
いつ降り出すか分からないので、折りたたみ傘をバッグに放り込んで家を出た。
私は大きめのバッグを使っていて、その中に色々な物を突っ込んである。
必ずいつも使うわけじゃないけど、念の為持っているという物ばかりで、一つひとつは小さな物だけど、数が多いので結構重くなる。
もっと軽くしようと何回も中身を点検するけど、結局どれも必要かも?と思って減らすのは道端で貰ったティシュと、2本もいらないか?とボールペンを1本減らすくらい。
今朝もバッグを肩に掛けながら、「我ながらお馬鹿な中身だ、重たいよ」と呟いて、梅雨空の下を歩き始めた。
そのとき、ふと
「ムーミンママのハンドバッグには何が入っているのかなあ」と思った。
ムーミンのお話はアニメにもなったから、誰でも知っていると思う。
私は随分昔に読んで、すっかり気に入り何度も読み返すうちに、登場人物が頭の中に刷り込まれてしまった。
それ以来、現実の世界で出会う人たちを、密かにムーミン的に分類するという悪いクセがついてしまった。
アニメでは、可愛い、面白い話が多いけど、原作では結構不気味な出来事やシュールな表現も多く、子供の童話としてだけではなく、大人が読んでも楽しめると思う。
その中で、どんな事態になっても常にマイペースに暮らしているムーミン一家に、心が和む。
なかでも一番マイペースなのがムーミンママ。
一家の中心であるムーミンママは、いつもどんな時でもハンドバッグを持っている。
家の中でも、外で庭仕事をしていても。
自称小説家のムーミンパパが冒険小説を書くために、荒れ果てた離れ小島に移住するときでさえ、ボートの中でハンドバッグを離さなかった。
いったいあの中には何が入っているのかなあ。
電車に揺られながら、バッグに入っていそうな物を考えてみた。
まず、ムーミンが可愛い赤ちゃんだったときの写真・・・ずっと持ち歩いているので端の方が丸まっている。
真っ白い大きなハンカチ・・・汗を拭いたり手を拭いたりもするけど、誰かが怪我をした時に包帯の代わりにする。
ハーブから作った軟膏・・・タイガーバームが入っているような小さな缶に入っている。ムーミンたちが膝小僧をすりむいたり、虫に刺された時に付ける万能薬。
花の種・・・気に入った場所が見つかったら、すぐに撒けるように小袋に入れて。
お茶の葉をひとつまみ・・・急にお茶会を開く時のために。
それから、皆で回し飲みしてもいいから、大きめのマグカップも一つ欲しいかも。
あれ?これじゃ私のバッグだわ。
小さなママのバッグには入り切らないな。
気になったので、帰ってきてから本を探してみた。
すると・・・あった、あった。
すっかり忘れていたけど、ムーミンママがハンドバッグをなくしてしまうお話があった。
「たのしいムーミン一家」というお話の中に。
ムーミンママがバッグをなくしてオロオロしているのに、周りの人は、それほど大事件とは思わない。
この事態にムーミンパパは不平そうに
「わしは、白状しなければならないが、ママがハンドバッグをもってないと、とてもへんな気持ちになるんじゃ。なにしろ、あれをもっていないママは、見たこともないからね。」
スニフ(ムーミンの友達)がママに、
「中にはだいじなものがはいっていたのですか」
と聞くと、ママは
「いいえ、ほんの急場にいるものだけよ。かわいたくつ下とか、あまいものとか、糸きれとか、パフにつけるおしろいとかね」
スニフが
「ぼくたちが見つけてあげたら、なにかごほうびをくれる?」
と聞くとママは
「どんなことだってしてあげるわよ。そうね、あんたたちのために、大きなパーティを開きましょう。お茶とおいしいおかしずくめでね。そして、だれもおさらをあらったり、早くねどこについたりしなくてもいいとするわ」
目出度くハンドバッグが見つかって、8月に大パーティーが開かれる。
その時ムーミンママは
パンケーキをやくために、金たらいにあぶらをひきました。
フライパンだけではたりなかったからです。
ああ、思い出した!
ムーミンのお話のこういうところが、大好きなのでした。
結局、私は昔から食いしん坊だったのね!
庭に放置してあったアマリリスが健気に花を咲かせました。
この花は、ずーっと「わぁ~~~」と言ってるような気がします。