最近は通勤電車の中でメイクをしている人を見ても驚かなくなった。

この是非については散々議論され尽くした(是はほとんど見つからない)から今更どうこう言うつもりはないけど・・・

車内でメイクしてる人には、独特の雰囲気がある。

絶対に他の乗客と目を合わせないのだ。

自分の行為が好意的に見られないのを知ってるし、でも「アタシはやるんだもん」という開き直りの態度がありありと感じられる。

それはそれなりにエネルギーがいることだと思うので、「ご苦労様」とは思うけど。

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このあいだ、立っている私のすぐ前の席に座ったのは、とても綺麗な人だった。

長い髪をきっちりアップにまとめ、一筋の乱れもない。

お肌もスベスベ。

黒目がちの大きな瞳、すっきり通った鼻筋に形の良い唇。

着ている物もさりげなくお洒落。

全体が上品で、良家の子女風。


その人が座席に座ると同時に化粧ポーチを取り出してメイクを始めた。

そのままでも充分綺麗なんだから、メイクなんかしなくてもいいじゃない?といいたい、けど、まさか、いえない。

ナチュラルメイクでいいんじゃない?と心の中でお節介を焼く。

なにしろ地下鉄の中なので、外の景色は見えないし、身動きもできないので、前に座っている彼女にどうしても目がいってしまうのだ。

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彼女は慣れた手つきでポーチから次々と化粧品を出し、下地からパウダー、アイメイクまで着々と顔を仕上げていく。

当たり前だけど彼女の顔がだんだん変化していく。

出来上がった顔は、綺麗だけど、どこかで見たような雰囲気になっていた。

彼女本来の個性が、メイクの下に隠れてしまった。

でも・・・

もしかしたら、メイクでわざとそういう効果を狙っているのかな?

メイクは、仮面にもなるし。

「ボクはナチュラルな感じが好きだなあ」

と男の人はいうかもしれないけど、職場ではそういう美しさは、邪魔になるときがあるかもしれないし。

人前では、建て前の顔、休日は素顔でナチュラルに・・・

美人は、そういう使い分けも出来るわけで。

と、何を塗っても、大して代わり映えのしない私は妙に感心したのでした。

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帰りの電車で、まだメイクを落としている人や歯磨きをしている人には会ったことがない。

でも最近、化粧ポーチに入るお洒落な電動歯ブラシが発売された。

もしかしたら、そのうちに歯磨きしてる人を見かけるかも?

そのときは、あまりびっくりした顔をしないように、今から心がけておかなくちゃ。

これも憂き世の修行だわ、きっと・・・


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誰が見ていても見ていなくても・・・

雨の中で元気に咲くバラの花