去年の秋、うちの近所でハクビシンの目撃情報があり、近隣一同、しばらくはその話で盛り上がった。

近くのお宅で、夜中に庭で何やら物音がするので懐中電灯を持って出てみたら、不思議な生き物が柿の木に登って、その実を食べていた。人の気配に驚いて逃げ出したらしいが、その顔に白い筋がはっきり見えたという。さらに2階のベランダに柿の種がごっちゃり入った糞があったらしい。だからハクビシンに間違いないというのだ。

最初にこの話を聞いたときは、まさか、と思った。東京の真ん中にハクビシンがいるなんて信じられない。

でも、この家の家族は昔からよく知っている人たちだけれど、近所とトラブルを起こしたことなどない、物静かで温厚な人たちだ。出鱈目な話を触れ回って、面白がるようなタイプではない。だから嘘をついているわけじゃなくて、本当に見たんだと思う。

ペットとして飼われていたのが逃げ出したのか、捨てられて野生化したのか。

うちにも柿の木があるので近所の人から「次はお宅に行くわよ」なんて冗談半分に脅かされた。それでもやっぱり半信半疑。

ところが妹が、少し離れた地域の人と猫の話をしていたら、その人もハクビシンを見たという。その人は真夜中に町内の野良猫に餌をあげて回る。そのとき家の塀の上をハクビシンが悠々と歩いているのを見た、というのだ。

もしかしたらハクビシンは一匹じゃないのかも。

ネットで調べてみたら、あちこちに目撃情報があった。

ざっと見ただけでも世田谷区、千代田区、大田区・・・

やっぱりいるんだ、ハクビシン!

この話を世田谷の友人にしたら、「そういえば・・・」と少し前のことを思い出して話してくれた。

夕暮れ時に下北沢の住宅街を歩いているとき、目の前を奇妙な生き物が横切ったという。

犬でもない、猫でもない、見たことのない体つきの生き物だった。薄暗かったし、あっという間に姿を消したので、確かめようがなかったけど、今でもあれは何だったか気になっている、という話。

この友人は「目の前を奇妙な生き物に横切られる」タイプらしい。

ある朝、玄関を出て門のところまで行ったら、門扉の内側を亀がノソノソ歩いていたという。近くに池も川もないのに、なんでこんなところにいるんだろう、とあっけにとられて固まってしまい門扉を開けることもできず、亀が隣の家へ続く塀の向こうに姿を消すまでじっと立って見ていたらしい。

この話をすると皆「竜宮城まで乗せてってもらえばよかったのに」といって笑うという。私も同じことをいいました。

ちなみにこの人は、世間で流行っているものには一応全部首を突っ込んでみる人で、現在巷に蔓延しているハヤリヤマイを体験中。病床からこんな画像を送ってくれました。
空をみる人-インフルエンザなう.jpg
タミフルなう     撮影 Miss桜井

この人が一番不思議な生き物かも?