「育児社員冷遇」が30年先の売上をなくす | 大阪・南森町ではたらく女性社長のブログ

大阪・南森町ではたらく女性社長のブログ

営業戦略コンサルティングと営業代行の両方をやっているミネルヴァ経営社長の上船が中小企業の営業戦略、お仕事術、お仕事日記、考えなどを綴ります

読書、日報記入、会計ソフトと名刺管理ソフトの入力、3Sと続く毎日の「個人朝活」の締めは、メールチェックとその中に含まれる「日本経済新聞社 電子版 My日経メール」と「日経ビジネスオンライン Mail」に目を通して、興味のある記事を読むことです。

今日の「日経ビジネスオンライン」と、先週10月29日のそれに掲載されていた記事を見て、考えたことがありました。

守るべき弱者はどこにいる? 「妊娠解雇」が「児童虐待」の引き金になった
社長・青野慶久の「イクメン日記」 第3回 「仕事」と「育児」のどちらが大切ですか?
(全文読むには会員登録が要ります。登録は無料です)

真逆の会社、真逆の経営者を描いているこれら2つの記事。

これらを読んで、子ども(を育てている社員)を大事にするということは、「社会貢献」とかいう間接的で、効果が見えなくて、「余裕のある大企業だけがやる」と思われていることである以前に、私企業が追求すべきである「利益」の面からも、必要だと気づきました。

「やるべき」ではなく「やらないとヤバイ」ぐらいの。

青野さんのこの発言を読めば、育児経験のない男性経営者にも、分かるのではないでしょうか。

-----------------------------------
今は「育児のほうが大事だ」と断言できます。

以前から育児はもちろん大事なものだと思っていましたが、どう大事なのかを自分で明確に説明できなかった。「子供はかわいいから、育児は大事」という感情論ではなく、理屈で分かりたい。育休前は何かそのへんがもやもやしていたのですが、終盤になって「育児とは何か」の自分なりの答えが出たんです。

育児とは、人類の未来を作ることです。子供が育たないと、将来の売り先がなくなり、どんなにいいグループウエアをつくっても売れない。これはまずい。むしろ子供をたくさん育てればグループウエアも売れる。育児は言ってみれば「市場創造」です。育児をもっと大切にする社会にしないと、市場がどんどん縮小し、商売できない社会になります。

つまり、仕事ばかりをして子育てを大事にしないと、商売人は自分の首を絞めることになりかねない。だから、会社の仕事より育児が大事だし、商売人こそ育児をするべきなんです。

-----------------------------------



青野さんは、30年先の売上や利益を見ているわけです。

このように長期的視点をもっていることを「戦略的」である、と言います。(と、私は解釈しています。)

「戦略的」の対語が「戦術的」。
別の言い方をすると「場当たり的」です。

前者の記事で、妊娠した女性社員を肩たたきした経営者は、目先のコスト、目先の利益しか見えていません。

目先のコストだけ考えれば、つわりでしょっちゅう席を外し、定期検診だといっては休みを取り、子どもが発熱し保育所から大至急のお迎え要請が来たといっては急に早退する…。
こんな、生産性の悪い社員は「お荷物」以外の何者でもありません。

しかし、そのように妊娠中~育児期の社員を冷遇すると、将来しっぺ返しが来ます。

「30年先なんてとても考えられない」という方のために、もっと短期的な話をしましょう。

私は20代でシングルマザーとなり、2歳の息子を保育所に預けながら、転職活動をしたことがあります。
当時、派遣社員をしていましたが、ボーナスを含めた年収で上回る正社員への転職がしたかったのです。

時はバブル崩壊前、就職先はいくらでもある…と思っていましたが、子持ち女を雇ってくれるところはなかなかありません。

履歴書の段階ではねられますし、運良く面接にこぎ着けも、同じ理由で落とされます。

ある専門学校では理事長面接まで進みましたが、開口一番「お子さんがいるそうですね」と言われ、「こりゃダメだな」と予想したら案の定落とされました。

何社受けたか忘れましたが(今の就活生よりは少ないと思います)、「入れてくれたらどこでもいいわ」と思うようになって受けに行った会社から、面接で「じゃあ明日から来てください」と言われたときは多少面食らいました。

当時ブームが来つつあった有機野菜や無添加食品の卸をしている中小企業で、宅配事業を始めたこともあり、成長していて、人材はいくらでも欲しかったのでしょう。

入社直後は経理をしていましたが、加工品の仕入担当が体をこわして辞めてしまい、その後任に私が選ばれました。

前任者は、夜遅くまで発注業務にかかっていましたが、私は何しろ、定時で帰らなければ保育所に間に合いません。
夕方で発注を終えられるようにしました。

そのためにおこなったのが、業務改善です。
経験と勘の発注ではなく、過去の出荷状況と今後のセール予定や季節的要因等から出荷予想を立てた上で、欠品を出しにくい適正在庫量を保てる数量を発注するという、システマティックな発注に変えたのです。

これによって、欠品が劇的に減少し機会損失を防いだと同時に、在庫の膨張を防いだのです。
過剰在庫は、財務面で悪いことでもあり、また食品にはつきものの「賞味期限切れによる在庫ロス」をおこしやすくなり、利益悪化に直結します。

要するに、売上と仕入れ、両面で貢献して会社に利益をもたらしたわけです。

ついでに言うと、その会社に勤めながら中小企業診断士の資格を取得し、コンサルタント会社に転職したのですが、採用された理由は、資格なんかではなく、前職での業務改善の実績が評価されたのです。

一方の、私を落とした会社たち。

ほとんどは名前も忘れましたが、理事長面接で落とされた専門学校は、もちろん覚えています。

そしてもし、息子が(もう成人したのでたぶんないでしょうが)、進路としてその専門学校を志望したとしたら、こう言うでしょう。

「経営者があんな考え方をしているようなところには、行くな」と。


※C&Cマネジメント今後のセミナー・勉強会・講座予定