あたしは「枕が変わると眠れない人間」だ。


好みの枕は、やや低めで、首の辺りは支えられるように盛り上がっていて、頭の部分はやや窪んでいる形。
素材は綿。それも型崩れしないようにしっかり詰まっている物がいいわ。
低反発の枕も一時流行ったけど、あれって結構高いのよね。
フワフワして落ち着かなさそうだし。
あたしの枕はそこまで高額じゃないけど、結構こだわって選んだお気に入りの枕を持っていた。
持っていたのに・・・。


最近夜に川の字で寝ていると、枕元に何かが這ってくる気配がして、その直後におでこのあたりに「ガツ~ン!」と衝撃が走ることが度々あった。
眠っていて目もつぶっているけど、その瞬間は火花が見えるくらい痛い。
何かと思って飛び起きると、寝ぼけたタツがあたしのお気に入りの枕にちゃっかりと頭を乗せてスヤスヤ眠っていた。
「仕方ないなぁ~。タツ、寝ぼけないで自分の布団で寝なさいね。」とタツを布団に戻しても、また枕元に這ってきてあたしの枕に頭を乗せてくる。
朝になる頃にはあたしの枕はすっかり占領されている。


お陰で最近寝不足だ。
でも枕の威力も大したもので、たまにタツが寝ぼけて夜泣きをしてもあたしの枕に寝かせるとスヤスヤと眠っていまうのだ。
「枕にお母さんの匂いが染み付いているから、安心するんだろうな。」とさっきーが言っていた。
そういえばあたしも子供の頃、お母さんのそば殻枕の匂いをかぐとなんだか安心したわよね。
でもだからといって枕を取り上げたりはしなかったけど。


当然のような顔であたしの枕で寝ているタツを見るとちょっとムッとするけど、安心しきって時々薄笑いを浮かべる寝顔を見ると、「まっ、いいか。また新しい枕探そっと。」と思う今日この頃。
同じ枕がまだ売ってるといいな。