赤ちゃんが生まれたら、お母さんの最大のお仕事は授乳よね。
母乳でもミルクでも、飲まなきゃ赤ちゃんが大きくなれないから。

新生児は生まれた当日は分娩の影響で気分が悪いらしく、ほとんど何も飲まないそうだ。
生まれて何時間か経った後、ブドウ糖を少し飲ませるらしい。
だからタツも生まれた日はおっぱいは飲まなかった。

次の日から「みわ~んさんの赤ちゃんにもおっぱいあげられるわよ。」と助産婦さんに言われ、張り切って授乳室へ行った。
それで手順の通りに準備をし、「いざおっぱいを飲ませよう!」と思ってタツにあげようとしても、・・・。寝ている。
他の赤ちゃん達はお腹を空かせて、お母さんからおっぱいをもらうのを今か今かと泣きながら待っているのに。うちの子だけ寝ている。
「うちの子、寝ちゃっててあげられないんですけど。」って助産婦さんに言ったら、「ここをくすぐると一発で起きるわよ。」と言いながらタツの土踏まずをコチョコチョくすぐったけど、起きない。
「起きなきゃ乳首を赤ちゃんの舌に乗せれば反射でおっぱいを吸うわよ。」って言うんだけど、口を開けさせようとしてもタツは頑として口を開けなかった・・・。そして寝ている。

他の産婦さん達は初めての赤ちゃん相手に必死で黙々とおっぱいをあげている。
あたしがもし初産婦さんでこんなシュチュエーションだったら、「なんであたしの赤ちゃんは飲んでくれないのっ!」って焦っていたかもしれないけど、3人目の気楽さからか「寝たきゃ寝てな。飲まなきゃあとでミルクもらっておいてね。」みたいな感じ。
でも一応起こす努力はしたのよ。
「もしも~し!起きて!」とか、ほっぺをムニってやったりいろいろと。
でもタツは爆睡。

仕方がないから寝ているタツの顔をじっと見ていたら、何かに似ていることに気が付いた。
まん丸な顔。真一文字に閉ざされた目と口。ちょっと低い鼻。気持ちよく眠っているからかうっすらと薄笑いを浮かべている。そして昔ながらの肌着を着たその姿はまるで、「じ、地蔵!?」
タツはお地蔵さんにそっくりだった。
ちょっと衝撃よ。

その次の日からはおっぱいを吸ってくれるようにはなったんだけど、なぜか目を開けてくれない。
寝ながらおっぱいを吸い、飲み終わるとまた寝る。
変な話「この子ちゃんと目があるのかしら?」って心配したほどよ。
助産婦さんに「あたし、この子が目を開けているところってまだ見たことないんですけど、ちゃんと目あります?」って聞いたら、笑われてしまった。
さっきーや上の子達が新生児室にタツを見に行く時には、ちゃんと目を開けていたそうだ。

さらに次の日になって、「やっと目が開いている!」と思ったら右目だけ、その次の日は左目だけ開けていた。単なる横着者なのかもしれない。
もう片方の目も開けてやろうかと思ったけど、さすがにそれはやめておいた。

結局あたしが初めて両目を開けたタツの顔が見れたのは、退院後自宅に帰ってからだった・・・。
目を開けてさえいれば地蔵ではなくなるから、ちょっとほっとした。
でも家に帰ってからさっきーが「こいつ、なんかガッツ(石松)に似てない?」って言い出すから、新たな心配が増えちゃったよ。
赤ちゃんの顔ってどんどん変わるけど、タツは一体どんな顔の子になるのかな?
心配でもあり、楽しみでもあるわ。