私が主に弾いているのは「箏(そう)」という楽器です。

 

でも一般的には「琴(きん)」という漢字を使うことが多いです。

 

(どちらの漢字も和語では「こと」と読まれます)


なぜこのようなややこしいことになっているのかといえば、「箏」という

漢字が「常用漢字表」に含まれていないからなんですよ。

 

そもそも「箏」と「琴」という楽器は、同じ絃楽器ですが種類が違うんです

よね。その話はまた別の機会にゆずるとして…。

 

あ、ついでに…

和楽器の世界では「絃(げん)」という糸偏の漢字を使うことがあります。

この漢字も「常用漢字表」には載っておらず、その意味の字は弓偏の「弦」

です。

 

「常用漢字表」とは、あくまでも使用上の目安として機能させているだけで

すので「箏」も「絃」も使うことに関しては特に問題はありません。

 

さて、音楽教育の科目に「ソルフェージュ」というものがありますよね。

 

「ソルフェージュ」…

もともとはフランス語で「西洋音楽の学習において楽譜を読むことを中心と

した基礎訓練のこと」とWikipediaにありますが、大阪音大のサイトでは以下

のように説明されています。

 

     1.正しい高さとリズムで歌を歌う

 

     2.演奏されたメロディや和音を聴き取る

 

     3.楽譜のルール(楽典)を理解する

 

なるほど…。ソラそうですわな。どの項目も音楽学習には欠かせません。

 

でも    …と、箏弾きの私は思うわけダ。

 

西洋音楽の基礎学習が「ソルフェージュ」なら、邦楽の基礎学習はナンと

呼べばええのか。

 

実は、西洋音楽理論とは別の音楽観や考え方に基づいた「邦楽理論」も

あるんですよね。

 

箏の古典音楽を演奏する場合、十三本の糸上にはペンタトニック、いわゆる

五音階で調絃が施されます。

 

厳密にいうと、この邦楽の五音階は西洋音楽のそれとは違って※基音が定まっ

ておらず、自由に展開することができます。

 

     ※もちろん、箏同士や他の楽器と合奏するときは基音を決めますし、

      特に現代曲の場合は標準ピッチの440Hz~442Hzで合わせます。

 

つまり、ピアノのように鍵盤ごとに音階が決まっているわけではなく、お互い

に関連しあう音同士の関係性がきまっているということです。

 

邦楽の音の並び方は「音階(scale)」ではなく「旋法(mode)」なんです。

 

そこで、邦楽の基礎学習に便利なのが「箏」です。

 

箏は「箏柱(ことじ)」という駒を立てて音の高さを決めるのですが、その

箏柱をどこに立てるか、という位置は決まっていません。

 

それこそ、調絃方法や曲目や雰囲気や、もしくはその日の気分によって!自由

自在に音の並びを展開させることができる、つまり自分でチューニングをする

ことで、きれいな旋律のための音の並べ方や美しい和音を作るための試行錯誤

を繰り返せる。

 

まさに基礎学習の実践になりませんやろか?

 

名付けて「箏(そう)ふぇーじゅ」

           和風なので平仮名表記にしてみましたー。

 

…とまぁ、冗談半分に考えている、今日この頃でございますぅ♪