ところで(と急に始まる)「音楽の三要素」ってありますよね。
いわゆる「メロディ」「ハーモニー」「リズム」の三つですわな。
 

でも、これって西洋的(音楽)の考え方やと思うんです。

これは多分、和楽器奏者特有の(もしくは私のバイアス)感覚なの

かもしれませんが、邦楽には一音だけで音楽が出来あがってしま

可能性があるのではないか、と思うとります。

箏なら、六段の最初の「五」の糸を「テーン」と弾く…。もうそれ

だけで一つの世界観を語れる。そして次の拍の引き色(ヒキイロ)

、その世界に様々な陰影や色彩を与える。その一音一音の積み重

ねで音楽が成り立っているのが邦楽なのではないか?
 

尺八なら、最初の「ツレ~~~~」、もしくは「ハロ~~~~~」

の音…もうそれだけで大きな精神世界を表現できてしまえる。
(そう思えて仕方がない)

 

比して、たとえば、バッハの無伴奏チェロ組曲の最初の音を弾いた

だけでは、バッハの音楽は成り立たないような気がするのです。

そもそも、意味が違うんとちゃうか。


私はよく、邦楽の音と西洋音楽の音を「漢字」と「アルファベット

に対比させて考えています。漢字は一文字で多くの意味を表現(表意

文字)しますが、アルファベットは、基本的にはそれに関わる「発音」

を示唆するもの(表音文字)でしかありません。
そのように考えると理解しやすいです。

〈閑話休題〉

和楽器の値打ちは、その「音色」にあると思っています。
ここでいう「音色」とは、ピッチや倍音の成分、そして余韻、打撃音・

破裂音・摩擦音などの「雑音・躁音」、さらには前後の「間(ま)」

…それら全てを内包したものだと思っています。

ですから、一般的な「音楽の三要素(メロディ・ハーモニー・リズム)」

に対応する「邦楽の三要素」は、「音色」「余韻」「間」の三つである…

と考えるのは、どんなもんでしょうかね?

まぁ、そんなことを考えながら、ちまちまと練習している今日この頃で

ございます~。

(練習なんて何時間やっても足らないんですけどね)