サッカーボールが道路に飛び出しバイク運転手が転倒した事例 | 名古屋駅前の弁護士 三輪総合法律事務所のブログ

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オートバイに乗っていた80歳代男性が、小学校の校庭から小学生の蹴ったサッカーボールが校庭から道路に飛び出してきたため避けようとして転倒、その際傷害を負い入院治療を受けていたが、誤嚥性肺炎原因で死亡したとして、遺族が小学生の両親に起こした損害賠償請求がなされた事案で、近時、第ニ審で判決がなされました。

第一審の裁判所である大阪地方裁判所は、ボールを蹴った少年の両親に監督責任を認め計約1500万円の支払いを命じていましたが(大阪地判平23・6・27)、近頃この控訴審の判決があり、校庭からボールが飛び出すのは珍しくなく注意すべきであったとして三割の過失相殺、かつ既往性を斟酌し減額し、1180万円余の支払いを認める限度で請求を認容しました(大阪高裁平成24・6・7判決)。

その小学校では授業でサッカーが行われ、校庭にはサッカーゴールが置かれ、サッカーをすることは禁じられておらず、その小学生はゴールに向かってフリーキックを行い、球がそれて校庭外に飛び出てしまったという件です。

ボールを蹴り出した小学生に過失を認めた上で、小学生で責任能力がない場合、親権者が賠償責任(民714条)を負うというものです。
民法は714条で未成年者等の責任無能力者が責任を負わない場合の監督義務者の責任について規定しています。

そして判決では、以下のように判示されています。

「公道は、誰でも自由に通行できる公の営造物として設置されているものであり、予期せぬ形で通行が妨げられた場合は危険が大きいから、道路外の他の者は、自動車等を含む組む公道の通行を妨害しないように措置すべき注意義務を負っているというべきである。道路外の他の者であっても、このことは同様で、学校内での活動は学校の範囲以内に収めるのが原則である。本件のサッカーゴールは校庭の南端線のネットフェンスの高さは約120cm、南門の高さも同程度であって、ゴールに向かってフリーキックの練習をした場合は、ボールがゴールを外れ門扉やネットフェンスを越えて本件道路に飛び出ることが十分予想されたといえる。もとより校庭内でサッカーをすることは許されたことであるが、前判示のようにそれはあくまで校庭内のことであり、校庭の南側に隣接する本件道路との関係では、校庭内でサッカーをする者は道路の交通を妨害しないような注意義務を負っていたというべきである。そして、当時のサッカーゴールの位置、校庭南側の門扉やネットフェンスの状況等に照らすと、(小学生)がボールを校庭外に飛び出させた行為は、注意義務に違反する行為であったというべきであるから、同人には過失があったことになる。」

というものです。

下級審・高裁判決ともに小学生に過失を認め、その監督の義務を負う親に賠償を命じています。
しかし、ゴールの後方にあるネットフェンスの高さが約120cmしかなかったことが原因であり、ネットフェンスを越えてサッカーボールが道路に飛び出ているのですから、裁判で被告となっていない学校側の施設・管理上の責任が大きいと考えられます。


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