9月8日に放映された「サンデーモーニング」(TBS系列)にて
「兵庫県知事のパワハラ疑惑」をテーマにお話しました。
コメントを以下にupします。
(内容は一部、再編集を加えています)
●どんなニュースだったのか?
内部告発した元局長は、なぜ守られなかったのか。百条委員会での追及が続いています。
兵庫県・斎藤元彦知事のパワハラなどの疑いを告発する文書が前西播磨県民局長(以下、元局長)により
作成され、知事が元局長を解任、懲戒処分とし、その後、局長が自ら命を絶った件。
県議会の百条委員会(自治体事務に関する疑惑や不祥事を調べるため、地方議会に設置される特別委員会)では、
知事本人への2回目の証人尋問が行われました。
今回問われたのは、元局長への懲戒処分という対応です。
公益通報者は法律で保護が定められ、犯人探しを始めとする告発者の特定や、不利益な取り扱いを行うことが禁止されています。しかし、元副知事は
「徹底的に調べてくれっていうお話が知事からあった」と、知事からの指示で犯人探しをしたと証言。
元局長は報道機関などに告発文を送った後、県の公益通報窓口にも通報していますが、その後懲戒処分となりました。
なぜ公益通報として扱わず、処分まで下したのかを問われた知事は「告発文書は、噂話を集めたもので、真実相当性がない」との主張を繰り返しました。
一方で委員会の終了後、上智大学の奥山俊宏教授は「県の対応は通報者探しに当たり、公益通報者保護法に違反している」と指摘しました。
知事選挙で斎藤知事を推薦したのは自民党と日本維新の会。自民は知事に辞職を申し入れすることを決定しましたが、維新は対応を検討中だということです。
●コメント
現時点でわかっている範囲内で考えると、県の対応はやはり、公益通報者保護法違反に該当すると考えます。
もしも公益通報者保護法の趣旨に則って知事が対応していたら、失われなかった命があるんじゃないかと思います。
一連の対応には、いくつかの問題点を感じます。
一つは、知事が公益通報者保護法をしっかり理解していないということ。ある程度、事態の追及が進んだ現時点に至っても、理解しようとする気がない。異なる見解の指摘を受けても考えを変える様子が見られない。
そのような人が、本当に県のトップに立っていていいのかということがあります。
もう一点、知事は「告発文書は、噂話を集めたもので、真実相当性がない」との主張を繰り返していますが、
ここでは知事は「誹謗中傷」と「適切な批判」とを区別できていないようです。
自分に対する批判を何でも「誹謗中傷」と受け取ってしまう人が、権力を握っていることに疑問を抱きます。
そうなってしまうのは、日頃から自分に都合のいい意見しか言わない人を周りに置いている、ということがあると思います。
ときに自分にとって耳が痛いことも言ってくれる側近に置き、かつその意見に耳を傾けられる人が
トップにいることがふさわしい。それが、公益通報者保護法の本来の趣旨にもかなっていると思います。
今回命を失った人がいるのは大変残念なことですが、県の対応が違法行為と指摘できるのも、公益通報者保護法が存在するからこそ。
それゆえ「通報する人を守りましょう」ということを徹底して言っていかなければならないなと、改めて感じています。
【構成・編集=松岡瑛理】
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