「弁護士三輪記子のYouTubeチャンネル」、バックナンバーご紹介編。
今回(23年6月15日公開)のゲストは新里宏二弁護士です。
お聞きしたのは「優生保護法被害に基づく国家賠償請求訴訟」の現状についてです。
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優生保護法は1948年(昭和23年)に全会一致で成立した法律で、
第1条(目的)には「この法律は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とする。」と定められていました。
この法律は驚くべき事に1996年(平成8年)までありました。
そして、この法律に基づいて強制不妊手術・人工妊娠中説手術を実施された人が
約8万4000人も存在します。
この法律は憲法13条(自己決定権)及び憲法14条(法の下の平等)に
違反することは明らかであるといえるでしょう。
(後述しますがこれまで出された判決においても違憲性が認められています。)
しかし、この被害は長らく社会から知られることがないままでした。
私自身、最近の報道でようやくこの問題を知り、
毎日新聞出版編の『強制不妊--旧優生保護法を問う』という書籍で
事実関係等を勉強した次第です。
他には「強制不妊と優生保護法ーー“公益“に奪われたいのち」(岩波ブックレット)
という本もあります。
今回ゲストの新里先生は、2013年に優生手術(強制不妊手術)の被害者である
飯塚さん(仮名)と出会い、この問題に取り組んで来られました。
そして2018年1月30日に全国で初めて、
優生保護法に基づいて強制不妊手術をさせられたことについて
国に責任を問う国家賠償請求訴訟が提起されました。
その後、全国各地で訴訟が提起され、5件の高裁判決が出ています。
これまでの裁判では、概ね優生保護法の違憲性は認められているものの、
除斥期間(不法行為の時から20年経った後の権利行使は認められないという
民法724条2項の規定)の壁が厚くはだかり、国の責任は認められない
(つまり、国に対する損害賠償請求は認められない)という判決もありました。
一方で、国が率先して優生手術を推進し被害者が被害を受けたことに
気付くことすら困難な状況を作出したという経緯等から
除斥期間の効果を制限するという判決も出ています。除斥期間の効果を制限するということは、すなわち国の責任を認めるという判断です。
実際、優生保護法に基づく被害に関する国家賠償訴訟のうち、
現時点(2023年6月6日)で出ている高裁判決は、原告の4勝1敗となっています。
しかし、一番最近に出された仙台高裁判決(2023年6月1日)は
除斥期間の効果を認め原告敗訴の判決となりました。
これまでの高裁判決についてはすでに国が上告を申し立てており、
仙台高裁判決に対して原告が上告予定とのことです。
最終判断(最高裁判決)まではまだまだ相当の時間を要します。
新里先生は言います。
「2013年に飯塚さんにお会いしたときは、飯塚さんは自転車で事務所まで来られていたのに、今は杖をついて来られるようになりました。時間の経過を感じます。」
被害救済を図るにはどうすればいいのでしょうか? 私達には何ができるのでしょうか?
そもそも優生保護法って何?という方もいらっしゃると思います。
前回も新里先生とはYouTubeの生配信にご出演いただきました。
⇒動画はこちらから
2023年6月1日の原告敗訴の仙台高裁判決を受けて、
弁護団長の新里先生にあらためてお話を聞きました。 是非ご覧ください。
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