3月19日、「サンデーモーニング」(TBS系列)で
「袴田事件の再審開始決定」をテーマにお話しました。
コメントを以下にupします。
(内容は一部、再編集を加えています)
●どんなニュースだったのか?
今から57年前の1966年に静岡県清水市で一家4人が絞殺された、
いわゆる「袴田事件」。
東京高裁は3月13日、袴田巌さんの再審の開始を認める決定を下しました。
袴田さんは1988年に死刑が確定し、冤罪を主張して
裁判のやり直しを求めていました。
2014年、ようやく再審の開始が認められ、釈放されましたが、
その後、再審決定が取り消され、審議が続いていました。
検察側は東京高裁の決定を不服として、
最高裁へ特別抗告することを検討しているという話もありましたが、
特別抗告を断念し、この流れからは袴田さんが無罪を勝ち取れる日も
遠くはないかもしれません。
(放送日には、検察が特別抗告を検討していると報道されていました)
●コメント
袴田事件をめぐっては、捜査機関によって過酷な取り調べが行われ、
証拠捏造が行われていた疑いが以前から指摘されています。
これまでに、袴田さんが事件について自白したとする調書45通が提出されていますが、そのほとんどが自白の任意性を認められず、後になって証拠から排除されています。
そもそも「捜査機関が適正な捜査をする」という思い込みを裁判官が
はじめから排除していれば、裁判が始まる早い段階で、
より適切な判断がなされていた可能性はあります。
なぜそれがされず、袴田さんが長らく拘禁されてしまう状況が起きたのか。
大きな問題は再審の手続きに関して、ほとんど規定がないことです。
条文の数がとても少ないですし、再審の開始時期についての規定もありません。
そのため、再審をするかどうかを決めるだけでも10年以上の時間を要してしまいました。
証拠開示についても同じです。今回の再審開始に関する判断については、
裁判官から検察に改めて証拠開示の要求があり、
それによってようやくこれまで証拠とされていたものが
捏造であった可能性が指摘できるようになりました。
検察官が証拠開示しないのは「法律にそのような定めがない」からです。
検察が裁判の初頭から証拠を開示し、取り調べを可視化できるように
制度を変えなければ、今後、第二・第三の袴田さんが出てくるかもしれません。
検察官は公益の代表者ですが、その過ちを正すことも公益にかなうものではないでしょうか。
私達市民も「何が公益にかなうのか」について声を上げ、過ちをただすように求めることができます。
その点を理解しながら、現状の法制度を変えることについてぜひ多くの方に関心を持っていただきたいなと思っています。
【構成=松岡瑛理】
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