~ロードリック公爵邸~
「ねえ、ねえ、ばあや、おかしくない?」
「はいはい、大丈夫ですよ。十分お綺麗です。ベルンハルト皇子もお喜びになりますよ」
ソワソワと落ち着かないシンシアを微笑ましく見つめながらばあやは言った。
コンコンッ!
「シンシア、支度はできたか?」
「お父様!」
「わが娘ながら、綺麗だ」
ニッコリと笑ってエルヴィンはシンシアを抱き寄せながら言った。
今晩は、イストムスから留学(という建前)で来日したベルンハルト達の歓迎の晩餐会が王宮で催されることとなり、ロードリック公爵家も出席することとなっていた。
*****
~王宮 水晶の間~
今宵は、アトラジェーニの伯爵から上の爵位の貴族達が集まって、歓迎の晩餐会が催されていた。
アトラジェーニ王(エデュアルト)からあらかたの貴族の紹介をされて、やっと一息ついたベルンハルトとネイト。
その周りには、ダンスを誘って欲しげな貴婦人達がチラチラとベルンハルト達の方をみている。
「ベルンハルト様、大丈夫ですか?」
「ああ、ちょっと、こういうのは苦手でな。なあ、ネイト、私の代わりに婦人達の相手をしてやってくれ」
「ええ!ぼ、僕が?」
「お前だって、イストムスの伯爵家の出身だ。何も気後れすることはないだろう?頼む」
貴婦人達の相手をネイトに頼む(押し付ける)と、ベルンハルトはバルコニーへと逃げた。
*****
「やっと来た!」
ベルンハルトがバルコニーへ足を踏み入れると、シンシアが、ぷぅっと膨れっ面をしながら出迎えた。
事前に示し合わせていたのだ。
「すまなかった!貴族との顔合わせに時間がかかってしまって💦」
「やっと本物に会えた!会いたかったわ、ハルト!」
「私もだ!シア!」
ベルンハルトはフワッとシンシアを抱き上げた。
クリーム色の布地に花びらのように薄い黄色の布地が折り重なったドレスのシンシアはまるで春先の花が咲いたように舞っていた。
「会わない間に、少し背が伸びたな。それに、大人っぽくなったというか、き、綺麗になった」
ベルンハルトは真っ赤になりながら言った。
「え、本当に!嬉しい!」
シンシアは、嬉しそうに満面の笑みをたたえた。
「ハルト、音楽が奏でられているわ。出会った時みたいに踊らない?」
スッとベルンハルトの前に右手を差し出すとシンシアは微笑んだ。
「よろこんで。お姫様」
ベルンハルトもその手を取り、バルコニーから部屋へ戻っていく。
音楽に合わせてベルンハルトとシンシアはステップを踏んだ。
シンシアがベルンハルトのリードでクルクル回る度に、ドレスがフワリフワリと舞っていく。
ベルンハルトのダンスは、出会った頃の強引なリードとは程遠く、ゆったりとシンシアのステップに合わせたリードだった。
大切な美しい花の花びら一枚散らせないような、庇護するかのようなリードだった。
「ねえ、ねえ、ばあや、おかしくない?」
「はいはい、大丈夫ですよ。十分お綺麗です。ベルンハルト皇子もお喜びになりますよ」
ソワソワと落ち着かないシンシアを微笑ましく見つめながらばあやは言った。
コンコンッ!
「シンシア、支度はできたか?」
「お父様!」
「わが娘ながら、綺麗だ」
ニッコリと笑ってエルヴィンはシンシアを抱き寄せながら言った。
今晩は、イストムスから留学(という建前)で来日したベルンハルト達の歓迎の晩餐会が王宮で催されることとなり、ロードリック公爵家も出席することとなっていた。
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~王宮 水晶の間~
今宵は、アトラジェーニの伯爵から上の爵位の貴族達が集まって、歓迎の晩餐会が催されていた。
アトラジェーニ王(エデュアルト)からあらかたの貴族の紹介をされて、やっと一息ついたベルンハルトとネイト。
その周りには、ダンスを誘って欲しげな貴婦人達がチラチラとベルンハルト達の方をみている。
「ベルンハルト様、大丈夫ですか?」
「ああ、ちょっと、こういうのは苦手でな。なあ、ネイト、私の代わりに婦人達の相手をしてやってくれ」
「ええ!ぼ、僕が?」
「お前だって、イストムスの伯爵家の出身だ。何も気後れすることはないだろう?頼む」
貴婦人達の相手をネイトに頼む(押し付ける)と、ベルンハルトはバルコニーへと逃げた。
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「やっと来た!」
ベルンハルトがバルコニーへ足を踏み入れると、シンシアが、ぷぅっと膨れっ面をしながら出迎えた。
事前に示し合わせていたのだ。
「すまなかった!貴族との顔合わせに時間がかかってしまって💦」
「やっと本物に会えた!会いたかったわ、ハルト!」
「私もだ!シア!」
ベルンハルトはフワッとシンシアを抱き上げた。
クリーム色の布地に花びらのように薄い黄色の布地が折り重なったドレスのシンシアはまるで春先の花が咲いたように舞っていた。
「会わない間に、少し背が伸びたな。それに、大人っぽくなったというか、き、綺麗になった」
ベルンハルトは真っ赤になりながら言った。
「え、本当に!嬉しい!」
シンシアは、嬉しそうに満面の笑みをたたえた。
「ハルト、音楽が奏でられているわ。出会った時みたいに踊らない?」
スッとベルンハルトの前に右手を差し出すとシンシアは微笑んだ。
「よろこんで。お姫様」
ベルンハルトもその手を取り、バルコニーから部屋へ戻っていく。
音楽に合わせてベルンハルトとシンシアはステップを踏んだ。
シンシアがベルンハルトのリードでクルクル回る度に、ドレスがフワリフワリと舞っていく。
ベルンハルトのダンスは、出会った頃の強引なリードとは程遠く、ゆったりとシンシアのステップに合わせたリードだった。
大切な美しい花の花びら一枚散らせないような、庇護するかのようなリードだった。