何処にいるの?


家に帰りたくない。


お迎えに来てくれるはずの君が、来ない。


伸びをして、あくびをしながら、

迎えに来てくれることもある。


少しだけ、待ってみる。


心臓の音ばかりが大きくなってきて

息が苦しくなる。


息苦しさに耐えきれず、

玄関にうずくまりながら、


お願い。早く来て。

君に会いたい……

会いたいの。


声にならない願いを、

何度も繰り返す。


泣き疲れて、

いつの間にか眠ってしまう。


玄関で目を覚ましても、

現実を受け入れられないまま、

そのまま家を出て、車へ向かう。


四十九日までは、家にいるんだから。


そう言われた。


けれど現実には、

目に映ることも、

触れることすら叶わないのに。


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数日に一度、帰宅して

お花の水を替える。


頂いたアレンジメントにお水をやって、

少し傷んだ花びらを取り除く。


君が好きだったおやつを添え、

ロウソクを灯し、

線香を立てて手を合わせる。


足音も、

伸びをする気配も、

爪を研ぐ音も、

キャットホイールが回る音も、


もう、何も聞こえない。


君の気配が消えた家の中で、

水槽の水音だけが、やけに響く。


「ただいま」も、

「帰ってきたよ」にも、

何も起こらないことくらい、

分かっている。


だから、

家に帰りたくない……