久々に楽器の修理が必要になり、約10日間楽器が入院しました🎻
今回の修理は「指板の下り」です
指板とは、左手の指を押さえる黒い板のことです。
指板は湿気によって多少上下するのですが、ヴァイオリンの場合は一度下がってしまうと元に戻ることはほとんど無いのだそうです。
弦楽器は乾燥したら板が割れたり剥がれたりするし、湿気が多いと指板が下がるし、湿度管理は本当に大切ですね
指板が下がると、弦と指板の間の空間(弦高)が広くなってしまいます。
※「弦高が高くなる」という言い方をします
弦高は高すぎると押さえにくくなり、一方低すぎると音色のパワーが失われるので、適切な高さであることが大切です。
この楽器は使い始めて10年ほど経ちますが、今まで指板が下がるようなことはありませんでした。
今年の梅雨〜夏の湿気が凄かったので、影響を受けてしまったようです
これはいかん...ということで、工房に10日間ほど預けて修理していただきました🎻
指板を上げる修理方法はいくつかあるようですが、今回は楽器の上部だけを開けてネック部分を引っ張り付け直すことで指板を上げる方法で直して頂きました。
ネックに木を継ぎ足して高さを出す方法もよく使われる修理方法のようですが、私の楽器は既にその方法で修理がされているので今回同じ方法を重ねて行うのは良くないとの判断でした。
(線が見えるのが継ぎ足して高さを調整している部分です)
弦高を下げることだけを目的とするなら、1番手っ取り早いのは駒の高さを削る方法です。
修理の価格も格段に安く済みます。
しかし、弦高が高くなっている原因が指板が下がっている場合はこの方法では根本的な解決にはなりませんし、駒も削りすぎるのは良くないので出来ない場合があります。
修理が終わったので、いつもお世話になっている祖師ヶ谷大蔵にある山本さんのところに本日受け取りに行ってきました
最近弦高が高くて弾きにくいな...と感じていたのですが、こんなにも違うとは
適切な弦高だと左手の押さえる力が最小限で済みますから、無駄な力が抜け、重音が押さえやすくなったりハイポジションが苦なく弾けるようになったり、ビブラートもストレスなくかけられる感覚があります
扱いやすくなったことで、楽器が一回り小さくなったような、より身体にフィットするような印象を受けました
上手く弾けるような気がする〜笑
弦高の適切な詳しい数値は分からないのですが、調整をお願いすれば職人さんは必ずチェックしてくださいます。
定期的にメンテナンスに通って楽器をいつも弾きやすい状態にすることで、楽器上達がスムーズになり、日々の練習をより充実した時間にすることができます。
50万円以下の量産型の楽器(特に10万円前後の初心者向けの楽器)の多くは弦高が適切でない場合が多い印象です。
初心者の方は左手の技術が成熟していないので、ただでさえ無駄に力んでしまったり4の指がうまく押さえられなかったりするのに、弦高が高くて弾きにくい状態で更に頑張らないといけないというパターンがよくあります
楽器の値段に関係なく、メンテナンスをすることが大切です
自分の楽器の弦高、チェックしてみてくださいね
少しでも不安な方は、師事している先生やお世話になっている工房の方に相談してみてください
今回はネック上げ修理の他に、弓の毛替え・皮巻き直し・パフリングメンテナンス・顎当ての高さ調整もしていただきました🎻
音も良くなったし、とても弾きやすくなりました
皮巻きとパフリングメンテナンスに関しては別の記事に書きたいと思います