私はある人に議論の進行役として、「良識のある大人」の人を各テーマごとにつけて欲しいといったら、まずは①「良識のある大人」とは何か定義しないと、といわれて私は呆れた。 
言葉で言葉を定義できないことを、定義といった相手はわかっていないのだ。 
そういう人が、哲学サークルの管理人をしてるとは、呆れてものもいえない。 

「良識のある大人」を定義するには、まずは「定義」という言葉を定義しなければならない。 
そこで、辞書で「定義」の意味を調べたら、 

「【定義】 
ある概念の内容やある言葉の意味を、他の概念や言葉と区別できるように明確に限定すること。」 

という説明だった。 

定義の意味の説明には「概念」という言葉があるが、①のためには「概念」という言葉も定義しないといけなくなる。 

それだけではない。 

「【良識】 
善悪の判断を下せる、社会的につちかわれた見識。」 
の「善悪」なども定義しなければならないし、 

「【大人】 
考え方や態度が一人前であること。」 
の「考え方」なども定義しなければならない。 

おそらく、議論するには言葉の「定義」が必要だということになると、議論する前に言葉の「定義」だけで一生を終えることになるだろう。 

では、「良識のある大人とは何か?」。 
それは、いわなくても、どういった人なのか、各自によってどういう人か、わかっているはずだ。 

もし、あなたが言葉の「定義」はできると思っているなら、試しに「犬 (イヌ) 」を言葉で定義してみればいい。 
ちなみに、「犬 (イヌ) 」の意味は、 

「【犬】 
食肉目イヌ科の哺乳類。 
オオカミを家畜化した動物と考えられている。 
よく人になれ,番用・愛玩用・狩猟用・警察用・介助用・労役用などとして広く飼育される。 
品種が多く,大きさ・色・形などもさまざまである。」 

である。