先日、歌舞伎座の七月大歌舞伎をみにいった。
いつもは東京駅から歌舞伎座まで歩くが、とても暑そうだったので電車を使うことにした。
丸ノ内線で銀座まで行くことにした。
新幹線の東京駅から丸ノ内線に乗り換えるまで、かなり距離があった。
おまけになかなか電車が来ない。
さらに銀座駅から歌舞伎座までも、それなりに距離があるので、あまり電車を使った意味がなかった。
歩いたときと、あまり時間が変わらないような気がする。
やはりこれから歩くことにしよう。
蒸し暑かったが、少し曇っていたせいで直射日光は避けることができた。
新しい緞帳ができていた。
中島千波「貴花競苑図」
昼の部
菊宴月白浪 忠臣蔵後日譚
筋書に人物相関図が載っていたので、また登場人物がたくさんで、複雑な人物関係があってややこしい話なのかと思ったが、分かりやすい内容だった。
忠臣蔵後日談ということで、四十七士の切腹から一年経った話で、斧定九郎が主人公である。
斧定九郎は仮名手本忠臣蔵で鉄砲で撃たれ、血を口から吐いて死んだ人だが。。。
ここでは主人公で、中車さんが演じた。
各所で仮名手本忠臣蔵の場面を模したパフォディが盛り込まれていて、これも面白みのある部分であった。
見せ場がたくさんあった。
舞台の後ろで、花火が打ち上げられるのをスクリーンで表現し、定九郎演じる中車さんと大勢の捕手たちの場面は、とても綺麗で美しく見ごたえがあった。
宙乗りも定九郎が花道の方から凧に乗って一度あがり、今度は花道とは反対の方から凧に乗って下がっていく。
下がっていく所で凧から定九郎が落ちてしまう。
しかし傘を指してゆっくり落ちていくという演出もとても面白かった。
最後の大屋根での立廻りも、とても盛り上がった。
色んな要素が含まれており、とても面白い演目だった。
定九郎を演じた中車さんも、うまく役にあった良い演技で楽しませてくれた。
中車さんはこれから、色々と活躍しそうな気がしてきた。
与五郎を演じた歌之助さんも印象に残った。
夜の部
神霊矢口渡
九團次さん演じる新田義峯は、廣松さん演じる愛人のうてなと共に、兄義興が亡くなった矢口渡にさしかかった。
渡し守である頓兵衛宅で一夜の宿を求める。
この家の一人娘の児太郎さん演じるお舟は父親も不在でここは宿ではないと断るが、義峯の姿に一目惚れし、二人を泊めることにする。
お舟に惚れている下男の六蔵は、義峯を新田の落人と見破り、主人の男女蔵さん演じる頓兵衛に知らせる。
頓兵衛は強欲な男で、義岑の兄の暗殺にも一役買っていた。
頓兵衛は家に戻り、壁を破って床下から刀で義岑を刺し殺そうとすると、そこには娘のお舟がおり突き刺してしまう。
お舟は義峯たちを落ち延びさせ、身代わりとなった。
最後は、廻り舞台を廻し、海と座敷にいるお舟と、義興の霊が放った矢で貫かれ船に乗った頓兵衛を、効果的にみせて幕切れとなる。
とても視覚的に面白く感動を引き立てる。
ただ、何か芝居としては今ひとつな感じがした。
特に、お舟の内気な可愛らしさはあまり感じられなかったし、悪徳な頓兵衛も何かぎこちなさを感じた。
去年、松竹座での壱太郎さんのお舟、鴈治郎さんの頓兵衛がとても良かったので、よりそう感じたのかもしれない。
矢口の渡しと書いた案内板を刀で斬るシーンで火花が出るが、光が強すぎて一瞬目が眩んだ。
あれは結構な火薬だった。
神明恵和合取組
め組の喧嘩
火消しと相撲取の喧嘩。
特に喧嘩の場面は何も考えずに観れて、兎に角面白い。
辰五郎を演じた團十郎さんがとても存在感があり、格好よかった。
右團次が演じた四ツ車も、とても似合っていて貫禄も十分であった。
鎌倉八幡宮静の法楽舞
この演目はどんな演目か、まったく知らないまま観たが、とても良かった。
團十郎さんの七役で多彩さを感じたし、ああいう老女とかも、あんなに上手くこなせるのかと思った。
舞台全体で美しい芸術を描いているようであった。
新之助くんとぼたんちゃんも出演しており、可愛らしく、子供だがしっかりとした演技だった。
新之助くんの台詞を聞いてると、何かもう神がかっているような気がする。
それだけでなく、音楽は河東節、常磐津、清元、竹本、長唄囃子の五重奏というものもあり、これはとても聴きごたえがあり感動した。
芝居なしで、この五重奏だけでも十分なくらいである。
今年一番引き込まれた演目かもしれない。
筋書
七月の歌舞伎座は純粋に娯楽として楽しめた。
いつも大阪から朝早くに向かっているので、観劇中疲れが出てしまうけど、今回は珍しく疲れも感じなかったし、うとっとしてしまうこともなかった。
あっという間に時間が過ぎた感じがした。
とてもいい気分で新幹線で帰った。