日本文化に親しむ「花の集い」 | 五反島愚記

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日々の取るに足らない話や、歌舞伎や歴史ついても、備忘のために書いていきたいとおもいます。
私的な愚記ではありますが、読んでいただければ幸いです。

国立文楽劇場で、「日本の文化に親しむ 花の集い」という舞踊公演をみにいった。

 

 

 

先月の文楽公演に引き続き、この劇場にまたこんなに早く来ることになるとは思わなかった。

 

 

 

席は右側座席という端っこの席で、何でこんな隅っこの席なんだとおもったが、床が少し高くて見やすく良い席だった。

 

 

幕外で、尾上右近さんによる挨拶からはじまった。

この公演は司馬遼太郎さんの考案ではじまり、今年で四十年になるとのことだった。

しかし今年で最後となると、あっさりと言われ、ずっこけそうになった。

 

はじめて来たが、少し残念だ。

 

 

最初は祇園甲部の芸姑よる、

手打「七福神と花づくし」からはじまった。

 

花道より黒紋付を着た芸姑たちが、拍子木を打ちながら舞台へとやってきた。

拍子木を打ち、下に敷いた木の板のようなものを拍子木で打ち、

掛け声なのか、歌なのか、みなきっちり揃って声を発していた。

 

これが祇園芸姑の手打というものなのかと、初めてみて感心した。

 

 

次は歌舞伎役者による歌舞伎舞踊「高坏」がはじまった。

 

花見の酒宴で、市川九團次さんの大名が、盃をのせる高坏がなかったため、松本幸四郎さんの次郎冠者に買ってくるように命じる。

 

しかし次郎冠者は、高坏が何だかわからない。

そこで街で高坏を売ってくれと言いながら歩き回る。

 

そこで中村歌之助さんの高足売りに騙されて、高下駄である高足を買ってしまう。

それに加え、高下駄の上に盃をのせ、大名の酒まで飲んでしまうという、

なんとも滑稽な話を、幸四郎さんと歌之助さんが面白く演じる。

 

結局、高下駄は買うわ、酒は残っていないわで、大名に叱られるが、

次郎冠者は酔っ払い、高下駄を履き陽気に踊る。

 

ここで幸四郎さんの高下駄を履いての、酔っぱらいタップダンスがはじまる。

 

最後は、大名、次郎冠者、太郎冠者の三人とも陽気に踊り、楽しく終わる。

 

みているこちらも楽しくなる歌舞伎舞踊だった。

 

 

幕間の後、「極付 歌舞伎絵巻」と題して、四演目がおこなわれた。

最初に、市川九團次さんによる簡単な説明を含めた口上があった。

 

 

「三番叟」

三番叟を天王寺屋の渡邊愛子さんが、千歳を藤間勘十郎さんが、二人とも紫色の袴を履き素踊りで踊られた。

 

素踊りは退屈だと思いこんでいたけれども、すっかり見とれてしまった。

 

愛子さんは力強くも美しく、勘十郎さんは艶やかな舞踊だった。

 

踊りのことはあまり分からないけれども、素踊りも良いものだなと思った。

 

 

「阿国歌舞伎」

日本舞踊家による、阿国、傾城、禿の五人で踊る演目だった。

普段は歌舞伎で女形の役者さんの踊りをみることが多いが、女性にしかできない美しさがあって良かった。

 

何かとても可愛らしい人がいたのだけれども、あの人はいったい誰なんだろうか。

 

 

「雪」

山村光さんによる、男に捨てられた芸姑のさびしさを舞う舞踊だった。

薄暗い照明に蝋燭二本、胡弓と三味線がしんみりと鳴る中で踊られ、しんみりと寂しい気持ちが伝わってき、深く心を動かされた。

 

日本舞踊も良いものだなと思えてきた。

 

 

そして最後は

「蜘蛛の糸」

 

何か土蜘のようなものを題材にした舞踊なのかとおもっていたが、

時間は短めだが、しっかりと歌舞伎の芝居だった。


幸四郎さんによる蜘蛛の精。
頼光の虎之助さんと貞光の歌之助さんとの立回りがあり、幸四郎さんの両手から蜘蛛の糸が豪快に飛び広がる。

 

最後は保昌の尾上右近さんによる押戻しと、短いながらも見応えあるものだった。

最後皆での見得で幕が引かれ余韻が残った。

 

 

今回は軽い気持ちで、ふらっと行ったけれども、凄く楽しむことができた。

少しは日本舞踊にも興味を持てるかもしれない。

 

 

帰り道頓堀を歩いた。

 

大たこでたこ焼きを食べた。

近頃は混んでいるので、ここでたこ焼きを食べることはないが、この日は平日ですいていたので寄ってみることにした。

 

 

子供の頃、この店は店舗はなく戎橋近くの路上に屋台があるだけだった。

その頃のことを思い出しながら食べた。

 

中に入っているタコが大きくて、ともて美味しい。

 

最近、道頓堀をみておもうが、なぜこの店で観光客は並んでいるのだろうかと思うようなことは多々あるが、この店なら並んででも食べる価値はあるだろう。

 

 

その後、はり重グリルでステーキを食べて帰った。

 

 

何か良い夢をみそうな気がする。