落語の名人、志ん朝が父親の
志ん生にこう言われたそうです。


落語は、楽な商売だ。

ちょっとの時間しゃべって、食っていける。
こんないい商売は無い。だから、落語をやれ。

でも、3年間は死に物狂いで修業しろ。
そうすりゃ、一生食っていけるから。



そう言われて3年間みっちりやる。

お、あいつは見込みがある奴だ、なんて周りから言われる。
そうするうちに、仕事が楽しくなる。
ますます、精進する。

そうすると、志ん朝みたいに名人と言われるようになれる。

どの業界でも
こういうパターンなんでしょう。



これ、何でもそうだと思いますね。


仕事がどうも出来ない社員見てますと
おそらく必死にやった記憶が無いんでしょうな。

必死にやらなくっても、給料は出ます。

出ますけども、
30過ぎて、仕事が周りから認められないってのは
男としてみじめなものです。いや、女でもそうでしょうけどね。


採用の面接で、

私は以前の職場で仕事を死に物狂いでやりましたけど
体調を崩して・・・。


なんて話をよく聞くんです。


一日何時間働いたんですか?
と聞くとね、

12時間くらいです。

そらまあ!すごいですね。(

内心では、普通。普通。って思ってますけどね。


土日は?

土日は休めましたけど。

そう・・・。


まあ、世間様ではそれが普通なのかもしれませんが
それだと、どの会社行っても人並み以上に給料もらうのは難しいでしょうね。
労働基準法は、労働者を守りますけども、
その代り、その家族を、そこそこの暮らししかさせれませんし、出世出来ないもんですから、いつまでも仕事で楽が出来ないんです。



私は、新卒で入った会社が
8時半から終電まで。泊まり込みもあり、毎週土日も出社。
って環境でしたので、否応なく修業させて頂きました。

その分40歳になった今、午前中は筋トレしたり
自転車乗ったりしてても、会社は安泰で、心配なく、なんとか食えるようになっております。


正直なところ、歳をとるうちに、
自分を高めようという意欲が薄れてまいります。
口に出すのもはばかられますが、これが現実です。


子供でいるうちに、つまりあれこれ知恵がつく前に
どれだけ、馬鹿になって修業、勉強に打ち込むかってことが
仕事で認められる秘訣じゃないかななんて思ったりします。


修業は早いうちが良い。
ってのは、子供の時は褒められたらうれしい、
よし、もっと頑張ろうっていう
ピュアな心をもってるからだと思うんです。

私が若い時は、そこらへんがピュアではございませんで
小利口なところが、自分でも嫌なんです。何やっても1流になれないから。

空手道場に入門してすぐ、とんとん拍子に帯を上げてもらいながらも
(ああ、俺はこの道で上には行けないな。せいぜい、指導員どまりだろう。
 いいとこ、入賞出来る位だな。食ってくには別の道探さないと。)

って、わかってしまったので、そんなに一生懸命やりませんでした。
まあ、それはやらなくって正解でしたけどね。
私は、要領はそこそこ良いけども、継続性が無くって
決して一流には成れない典型的なダメ人間です。


仕事の場合、
私は30くらいの時に、たまたま、自分の力を活かせる分野が見つかって
がーっと勉強して、ある程度ものになりましたけどもね、
今、その分野が見つかったとしたら、どうだろうか?って気がいたします。あんな風に必死にやるかなと。

幸いにして、
会社経営と言う、失敗すれば破産と言う環境において初めて
私は必死になることが出来ました。

少年のような性格
といわれる創業社長が多いのは、なんのことはない、
馬鹿のまま、自分で決めた道をガーーっと突っ走れるからなんですね。

でも、そういう人って飽き性なんですけどね。だから、3年ていうのかもしれません。

だから、仕事が出来ない人が創業したら、
1年くらいは、休み取らずにずーっと働いたら?
って私は言うようにしてます。

それくらい出来ないと、多分、一生、楽できませんよ。

そりゃ、あんた社長だからって人いるんです。

サラリーマンだったら、一生楽する事無理だって。
違いますよ。

日立のシステムエンジニアとかね、
20代夜中の27時までとか毎日働いてます。ほとんど残業代無しで。
その代りある程度になったら、マネジメントって事で
ボーっとしてられるらしいですね。

大手の広告代理店もそうですね。

若いうちにバンバン徹夜とかするかわりに、
30代後半ともなれば「顔」で仕事が出来るようになります。
実績がものを言うからです。


仕事に打ち込むだけが、良い生き方かと言われると
そうではないですから、価値観を押し付けるつもりはないですけども
仕事に関して、年取って楽して良い給料取りたいなら、
やっぱり先に体調崩す位の苦労しとかなきゃいけませんねえ。