「モレッティか・・・。和食にも、案外ええなぁ。」

先日、割烹で出された料理のお皿を見て
私がそうつぶやいたら、
「そうです。意外に合いますでしょ。」
とそこの大将、嬉しそうにしてました。

モレッティの食器
http://www.le-noble.com/promo/060630moretti/

たまたま、最近行った、フレンチで出てきたお皿が面白かったんで
「これ、なんていうのん?へえ、モレッティっていうの。」
って聞いたことがあって覚えてたんです。

そこで、向こうは私を器が好きなのだと思ったんでしょう。
そないに興味はないんですが。

「どんなのが、好みですか?」

と聞かれたので、不勉強でよくわかりませんが・・・
と前置きしながら
最近、自分の感覚でピンときて買った2つ買った茶碗の作家が
偶然一緒だったので、その作家の名前を挙げたんです。

すると、

「へえ。ああ、あれ!いや、いいですよねー。」
と答えが返ってきたんで

「へえ、ご存知ですか。」

私はその作家さんをまったく知らずに買ったので
(へえ、結構有名なんかな。あの2つ将来値上がりするかもな。)
とか、ちょっといい気分でした。

で、料理が進んでいくと、
私が
「ん?」
と興味がわいた器があったんです。

で、しげしげと手に取って見てたら
そこの大将、実に してやったり顔で
「やっぱり、ばれましたか。さすが。」
というんですが、こっちは意味が分からなかったんです。

「何が?」
「いや、それ、清水 卯一。」

私の買った茶碗の作家だったんですね。
これには、もう私かなり鼻のあなが広がって

「俺くらいになると、まあ、ピンときちゃうよね。やっぱりさ。」

「まあ、私は、なんでも鑑定団でも、大体、真贋くらいは、わかりますね。
 たとえ、テレビ画面越しでもね。なんか、本物は語りかけてくるというかさ。」

「そうですか。」

「ところで、大将、その人、陶芸界では売れっ子なんですか?」

「・・。本当に知らないんですね。もうとっくに、亡くなってますよ。
 たしか、人間国宝です。」

え? そんな値段したかな・・・?
と思い返しました。


意外なことに、芸術家の作品というのは、死んだら ほとんどが「値下がり」します。

亡くなれば、その人の作品は、これ以上増えないわけですから、
価値は上がりそうなものなんですが、実は逆なんですね。


その芸術家にカリスマ性があればあるほど、
「タニマチ」的な金額の上乗せが入り、
その作品自体の価値よりも高くなるんです。


具体的に言いますとね、こういうことです。

アタクシ、たっぷりお金はあるから、
芸術家のパトロンの真似事をしてみたいザマス。

そんな豪勢な人、結構おられます。
そういう人たちが高値で作品を買いあげ、その芸術家の生活をささえていらっしゃいます。

芸術という世界では
客が、作った本人(それなりの人)目の前にして、
「これ、安くしてよ。」
とかなかなか言えないでしょうし。

ですから、生前に「先生」と呼ばれたの作品は9割以上、値段が下がります。
その人が生きているうちに有名だったかどうか。
ってのは、死んだら関係なくなる場合が殆どですからね。

さて、
その芸術家が亡くなれば、
単純にその人の作品の需給バランスで値段が決まります。
で、何ぼやったら買う?売る?
と本人に気を遣わずに相場が決まります。

死後、作品が再評価されて・・・
みたいな話は、現実には、殆どないんです。

逆に、そんな話なんてめったに無いからこそ、
ゴッホみたいな話が、話題になるわけです。

無名の画家に書いてもらった絵が100年後再評価されて・・・
みたいな事って、夢のある話ですが、現実にはまずない。

だから、私は死んだ人の作品ばかり買っています。

あと、昔はそういう素敵な事もあったかもしれませんがね、
今後はもっと減ると思います。

これだけ情報化社会が進んでますのでね、
昔と比べて、圧倒的に多数の人に見てもらいやすくなっているんですよ。
それでも、話題にならないというのは、おそらく今後も価値が無いんです。

あと、作者が変人だと、話題になりやすいので、その人の作品は
高値になりがちです。

そうして作者に人気が出れば、個展に人が多く集まる。
メディアにでるようになったら、さらに
人気が人気を呼び、作品もいつのまにか値上がりする。

だから、最近の芸術家の中には、わざとそういう
「変人キャラ」を自ら設定している人がおりますね。

腰が低くくて、物分かりの良い
世間慣れしているアーティストよりも
偏屈で、頑固で、奇行癖があって  
みたいな人の方が、カリスマ性ありますからね。

でも、実際は巨匠と言われている人とお話ししてみると
案外、腰の低い方、結構おられるんですよね。


あとね、女性アーティストに多いのが不思議ちゃんキャラ。

この間、ご自身の女性器のデータを配って逮捕された
芸術家がおります。あれもその一種です。

前衛的とか、思われたいんでしょうね。
私からすると下衆の極みですが。

あれが高尚な芸術だったら、大人のおもちゃ屋さんは
ポップアートを集めたMOMA美術館と、そうかわらないですよ。

だから、私もまれに、そういうおもちゃをアートとして買いますけどね。

その時は、いつも未来書房さんにはお世話になっています。
http://www.mirai-shobo.com/

こちら、北海道の講習会で時間があるときには立ち寄らせていただくんですが
それらを持って帰るとなると、空港の手荷物検査で
「てめー、何もってんだ?何やらかす気だ?」
と、別室に連れて行かれますのでね、余計な気遣いをしたくないので
会社に直接送っていただいてます。

もちろん社員が勝手に開封しないように、していただいております。
梱包1つにしても、アマンリゾート並みの気遣いが見て取れます。

さて、それらのアート作品も、やはり、実際に使ってこそ価値が発揮されます。

器もそうですが、「用の美」というのがございまして・・・。

ま、この辺にしときましょうか。