こないだ、自転車のって
河川敷を走っていましたら
まだ、外が明るいというのに
ロケット花火の音が聞こえてきました。

ヒユー、パン!

ヒユー、パン!!

走っているうちにだんだん、音が近づいてきます。

そして、そのロケット花火が走行中の私にあたったんです。

「!?」

ふと、その集団のほうを見ると、私の方を見てゲラゲラ笑っていました。

「すいませーん」
と、走ってきて謝るなら黙って済ませたんですが
私にロケット花火が当たったのを知って笑っている。

これ、わざとか?

ほんで、
何わらってんねん?

そう、思案しているうちに
スイッチが入ってしまいました。

自転車でその集団に近づき、

「おい、今の誰や。」

「俺っすけど。」

そいつがやけに余裕だったのは、
仲間が5人いたからだとおもうんです。

「お前らどこの人間や。」

「○○市です。」

「そうか。川わたってきたんやな。」


私はこの人数なら勝てないことないなと思い
よし、やったろうと、腹くくっていったんです。

「で、残念ながら、俺は、普通の大人やないから。とりあえず、お前そこへ座れ。」

「・・・。」

「おい、お前はその花火と火を貸せや。こらお前、そこへすわれいうとるやろ!」

「え?」

余裕のあった奴も、
この短パンTシャツのおっさんは、どうも様子が違うな
と思ったんでしょう。
ちょっとおとなしくなってきました。

「いや、すいません。」

「今更遅いで兄ちゃん。もう許さんから諦めいよ。ほんでな、
 刃向えば、お前らもいてまうぞ。おい、花火。」

「はい(どうぞ)。」

その仲間は、私にロケット花火とライターをさっと差し出してきました。

その瞬間、
彼らの男同士の友情は、あっけなくも崩れ去ったのでありました。

素直に私に従う仲間を見る主犯の表情は、
何とも言えない感じで。

私もこれほど一瞬にして、あちらの仲間たちが
協力的になるとは思っていませんでしたので
この主犯が少し気の毒になってしまいました。

多分、こいつら、週刊ジャンプ読んでないんでしょうな。

世代格差を感じます。
(私はちょっとHな漫画の多いヤンジャン派でしたけど。)

普通なら、もう少し
「いや、渡せません。勘弁してやってください。」

とかあると思うじゃないですか。
それが、まったくないんです。

こっちは、それいつ言うかな。
と思いながらも私は話を進めたんです。

「今から、お前がしたことを、俺がしたるから。でもな、目はつぶっていいから。失明したらあかんし。俺、ちょっと優しいやろ?」

「いや、その。はい。」

それでも一切、止めようとしないので
仕方が無いから、流れ的にロケット花火に火をつけざるを得ない状況になりました。

しかし、風が強く火が付きません。私は火が付かないことにイライラし始めました。

「つかへん!!もっとええライターだせ!!」

「すいません、100円ライターしかないです。こっちも試してみてください。」

(試してみてくださいって・・・。)

新しく渡されたライターで
カチ、カチ、カチ、いくらやってもダメです。

カチカチやっているうちに、怒りも収まってきたし、
やたら協力的だし、主犯もおとなしく座っているし、
もうわざわざ至近距離からロケット花火を当てるとか
そういう気持ちは失せてしまったんです。

「もうええわ。ドアホ!!」

最近の学生の友情のなさっぷりのせいで、
自分でオチをつけざるをえませんでした。

(あいつら、なんか男らしくないなー。)

と、思ったんですが
自分の時はどうだったかと振り返ったらですね、
そういえば、自分もそんな経験あったんです。
ちょうど主犯の立場の。

ま、似たようなもんでしたわ。

だから
そうか。仕方ないなー。
それが普通なんやなー。

と思い直しましたね。

なかなか、そんな美しい話
ないない。