路面電車を運転してきた 3/3 | 自転車で走るだけ

路面電車を運転してきた 3/3

さて、施設の見学が終わったらいよいよ運転体験の時間です。

道路を渡って北車庫に移動します。

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強風により、並べてあった三角コーンが散乱していますw

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並べ直してもまた飛ばされるので、結局片付けてしまいましたw

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今回運転するのはこちら。
車体には8101と書かれているが、形式は7900形だそうです。
調べてみたら、車体番号は岡電が開業した1910年からの年数を車体番号にする習慣があるらしい。

8101号は1991年製造。
岡電の開業から81年経っているので、最初の2桁は81になり、その1号車だから下2桁は01となるそうです。

このような形式や車体番号の付け方は初めて聞きました。

そして、今回運転する8101号は職員の方曰く「非常におもしろい塗装になってます」と言う。

見た感じ、ANAのB787デビューの車体広告です。

これはまさかと思って反対側に回ってみると・・・・

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やはりJALの車体広告が。

ライバルの航空会社がひとつの電車に広告を出してるなんておもしろいですね。

写真の撮り方が悪かったのですが、反対側の運転席はJALの広告になっています。

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ohくんかわいい


さて、運転する前に車両の説明を聞きます。

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これは連結器です。
連結器と言ってもほんと簡易的なもので、車両故障などの緊急時にしかしないものです。

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スポンと抜けます。
そしてバンパーの穴に棒を入れ、抜いた棒を戻して固定する仕組みなんだと思います。

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さすがに板バネではありませんね。

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床下をぐるっと見て回ります。
これはコンプレッサーです。

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乗車します。

車内が広く感じたのは窓が大きいからだけではなく、乗降扉が車体の前後にあるからだと思いました。
地元の伊予鉄道はすべて前扉と中扉のタイプなので、どうしても座席が真ん中で途切れてしまいます。

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こちらが主幹制御器です。
なんと直接制御式ですよ。

MOMO以外は全部直接制御式なんだそうです。

路面電車って古い車両を使っている会社が多いですが、旧型車両が全部直接制御式というのは珍しいんじゃないかな。

僕の地元の伊予鉄道では昔から非間接自動制御方式なので、こんなでっかいマスコンの電車を動かすのは憧れでした。

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床の蓋を開けます。
車輪が見えます。

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モーターと歯車のカバー。

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こちらはブレーキシリンダー。
右の管の下に見える棒がブレーキシューを押さえつけます。

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さて、いよいよ乗務開始です。

古いながらもピカピカに磨き上げられたマスコンが渋いですね。

それで運転する前に、実際の試験と同じように距離目測試験をやってみることになりました。
「運転席からあの電柱までの距離は何メートルでしょう」
と言われ、一人ずつ運転席に座って答えます。
(画像が無くてすみません)

私は1番目。
うーん、非常に迷う。
大体50メートルあるかないかだと思うんだけど・・・。

さんざん迷って「45メートル」と答えた。

そのほかの参加者も大体50メートル前後の数値を答えていた。

答えは52メートル。

うーん、惜しいなぁ。

職員の方が、「1番目のみうらさんがなかなかいいところをいったので、みなさんその数値を参考にしたんじゃないですか~?wなにも参考せずに答えに近い数値を出したみうらさん、なかなかの感覚ですね」
とお褒めの言葉をいただきました。
ありがとうございます。
初めてなのに誤差7メートルとは優秀だそうです。


あとで仲良くなった方に、隣に停まっている車両を参考にしたと言われ、なるほど、そういう方法もあるのかと感心した。
僕はアホだから、じーっと目標の電柱を見つめてたよw


さて、運転の方ですが、私が1番目に運転します。

まずは練習として車庫を2往復します。


ブレーキは1回で込め、2回に分けて緩めて停車させる。
停車するときは0.5~1.0kpaあたりでやさしく止める。

以前函館市電でも路面電車を運転したことがあるのですが、そのときは2回に分けて込めて、3回に分けて緩めて止めると言われました。
そのあたりは会社によって違うんだろうね。

さて、残念ながら運転中の写真はありません。
当たり前だけどw

1回目は2メートルくらい手前に止まってしまいました。

運転士さんの「はいブレーキかけて」と言われたタイミングでかけたのですが、空気を込めすぎたわけでもないのにすぐ止まってしまいました。

うーん、おかしいなと思って2回目の挑戦。

なんかコツが分かってきた気がする。
運転士さんの合図が間違っているわけではない。
それはもちろん、向こうはプロなんだから当たり前だ。

問題は私がブレーキハンドルを回す角度が大きすぎたため。

強いブレーキをかけたわけではないのだが、弁がたくさん開けばすぐにブレーキがかかりだす。
運転体験みたいな低速ならなおさらのことだ。

ふんふん、これは行けるぞと思って2往復目。

停止位置より少し手前ですが、基本制動は決まった。
スムーズに停車することができた。

復路では基本制動も決まり、停止位置もぴったり。
衝動もかなり少なく、自分で言うと自画自賛になるけど、なかなかうまく停車できたと思う。

次の参加者と交代して、私は取材に来ていた新聞社の記者にインタビューされた。

写真も撮られていたんだけど、それは結局倉敷市長選の扱いが大きくなり、文章だけとなった。
人に見せるような顔じゃないから載らなくてホッとしているw
もちろん記者に載せていいかと聞かれてOKしたのは自分だけどw

そのあとは鉄オタ同士で鉄道談義に花を咲かせていた。

そして気づけば「本番です」の声。

すっかり終わったものだと思ってたけど、最後に試験をやるんだった。

行きは練習で帰りは本番となり、停止位置の誤差も測定され、衝動計を使って乗り心地の評価もしてくれるそうです。

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これが衝動計です。

シンプルな装置ですね。

6番がありませんが、これは元からです。

さて、まずは練習です。

ブレーキを緩め、すぐにマスコンを入れます。

ゆっくり電車は動き始め、マスコンを2段、3段と入れていきます。

つりかけ式モーターの音が心地いいです。

マスコンを切にして惰性で走る。

ブレーキハンドルを込め位置に持っていく。
浅い角度でゆっくり空気を込めます。

サーっとブレーキシューと車輪の擦れる音が聞こえます。

「少し早いかなと思うところで緩める」

そう教えてくれたのは、去年の夏に行ったりくべつ鉄道の運転士さんでした。

その教え通り、少し早いかなと思うところでブレーキを少し緩める。

シューっと空気が抜ける音がする。

そして停車直前にもう一度緩める。

停止位置はぴったり。

衝動計はひとつも倒れていない。


運転台を交換して、いよいよ本番です。

本番だと言われると緊張しますね。


ブレーキハンドルをセットして、レバーを前進に入れます。

そして、行きと同じように発車します。

停止位置が近づいてきます。

いい感じで止まれるかと思ったら少し行き過ぎてしまいました。
衝動計はひとつも倒れませんでした。
乗り心地はよかったと言うことです。

外では職員の方がちゃんとメジャーで停止位置の誤差を測定しています。

結果は70センチオーバーでした。

実際の試験では50センチ以内が合格範囲で、これより手前だったり、行き過ぎたりすると距離に応じて減点されるとのこと。

しかし、初めての参加で乗り心地よく70センチオーバーで決められたら十分だそうです。

自分の番が終わると、再び鉄道の話題に花を咲かせていました。

他の方がどうなったのかあまり覚えていません。

ただ、衝動計は割と倒れていました。
しかし、多くても8番までですが。
それより大きな数値を倒す人はいませんでした。


こうして無事に路面電車運転実践講座は修了しました。

職員の皆様の人柄もよく、非常に楽しい1日でした。
みなさんの鉄道に対する愛情が伝わってきました。

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お土産にいただいた「レール文鎮」です。
職員の方が言うには、「これって文鎮じゃないよね」とのこと。
確かに文鎮ではないw
あと、非常に古いレールで、今はほとんど使われていない溝付きレールだそうです。
だから変わった形をしているわけです。


このイベントはとても楽しかったので、また参加しようと思いました。
岡山まで特急で1本だからね。
楽しいひとときをありがとうございました。