昨晩(7月4日木曜日19時開演)、サントリーホールでヤクブ・フルシャ指揮都響(コンサートマスター:矢部達哉)の演奏会を聞く。

朝10時からwebで当日券販売があり、なんとかチケットにありついた。え、これS券?という1階20列のやや右サイド。実際のところ音響の問題はなかった。

ビールを飲みたいところだが、昼の仕事で疲れきっていたので、コーヒーと眠気防止のエスタロンモカ2錠を服用。満員御礼で当日券販売はないとのことだが、私の左隣は英語を話す東洋人カップルで、左前はやはり東洋人の10歳の男児とその母親だった。この10歳男児がうるさかった。オーバーツーリズムの弊害が首都圏コンサートにも現れている。


ハーフでドイツ在住だがアンコールの曲を紹介する日本語はなかなかだった。


前半は五明佳廉(ごみょうかれん、42歳)のヴァイオリン独奏でブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。ヴァイオリンは1703年製ストラディバリウス「Ex Foulis」。テクニックはかなりだが、音は小さ目で小ぢんまりした印象。10年前なら大絶賛だが、これだけ次から次に若手ヴァイオリン奏者が出てくると、聞く耳も厳しくなる。ブルッフ1番ならもっとエモーショナルでエスプレッシーヴォな演奏を求めてしまう。むしろアンコールのピアソラの「タンゴ・エチュード第3番」が魅力的だった。


後半はブルックナー交響曲第4番。第2稿のコーストヴェット校訂版。この交響曲、第1楽章冒頭のホルンがコケるとガックリくる。首都圏オケでは安定感抜群の西條貴人だけに期待したが、やはりコケた。そんなこともあり、また左前の男児がうるさく、集中できないので、寝落ちの危険を覚悟で目を瞑って聞く。

すると第2楽章から俄然演奏の集中力が上がったように感じられた。とにかくフォルテが巨大なスケールの大きな演奏だが、弦楽器の踏ん張りが素晴らしくまさに音の建造物。いわゆる滋味溢れる感情に訴えかける演奏ではないが、とくに終楽章は圧倒的。指揮者の実力を証明する出来栄えになった。



今年7月23日に43歳になるヤクブ・フルシャ。まだ若手と言っていいが、バンベルク交響楽団首席指揮者で、チェコ・フィルとフィルハーモニア管の首席客演指揮者、来シーズンからはパッパーノの後任で英国ロイヤル・オペラの首席指揮者に就く。