先週の金曜日(5月17日)15時から18時10分まで東銀座の東劇でMETライブビューイング(オペラ映画)の「ロメオとジュリエット」(グノー作曲、1867年初演)を鑑賞。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で今年3月23日に上演されたものを録画し上映している。

どうしようか迷っていたが、仕事が片付いたので行ってみた。チケット代3700円のところ前回チケットを見せて3400円で入場。他の松竹系は5月16日までの公開だったが、東劇だけ5月23日まで2週間上映があった。

このMETライブビューイングの入りは、「カルメン」「椿姫」「トスカ」「アイーダ」などの人気演目でもせいぜい3割程度なのに、金曜日の15時開演だというのに7割の入りなのだ。「ロメオとジュリエット」というネームバリューの威力か。


指揮:
ヤニック・ネゼ=セガン
演出:
バートレット・シャー
出演:
ネイディーン・シエラ、ベンジャマン・ベルナイム、ウィル・リバーマン、フレデリック・バレンタイン、サマンサ・ハンキー
上映時間:
3時間20分 (休憩1回)
MET上演日:
2024年3月23日
言語:
フランス語

実は今回初めて見るのだが、オペラとしては傑作なのだろうか。ジュリエット(ネイディーン・シエラ)の「私は夢に生きたい」というアリアだけが突出して有名で、ロメオ(ベンジャマン・ベルナイム)のアリアはどれも印象的には思えなかった。むしろ小姓ステファーノ(サマンサ・ハンキー)のアリアがなかなか。いつも思うが、ロメオとジュリエットの2人の死は、運命に弄ばれたというより、若気の至りという感じの暴走に思える。もっと知恵を使って欲しい。このローラン神父(アルフレッド・ウォーカー)というのもっとしっかりして欲しいものである。シェークスピアに文句言ってもしようがないが。

それと舞台がヴェローナの街のまま5幕全てを済ませてしまおうという節約志向。このためロメオとジュリエットの初夜も街の広場に白い大きな布を敷いただけという異様なもの。METは資金豊富なはずなのに、こりゃないでしょう。

MET音楽監督のヤニック・ネゼ=セガン指揮はMET管弦楽団を冒頭から豪快に鳴らしている。決闘のシーンも凄い迫力だ。もちろん愛の場面など繊細な表現も抜かりはない。わざわざ音楽監督が振るまでの曲ではないと思うが、セガンがMETに認められるきっかけ(2008年ザルツブルク音楽祭)になった演目らしい。それにモントリオール生まれのセガンはフランス語が流暢なのだろう。