TV放映映画録画集の中から映画「トラフィック」(2000年 スティーブン・ソダーバーグ監督 2時間27分)を見た。ソダーバーグが最優秀監督賞を獲ったのを始めアカデミー賞を4つ獲ったということで期待して見たが、ん〜ん、微妙な出来栄えだった。

あらすじは以下の通り。

メキシコ州警察の警察官ロドリゲス(ベニチオ・デル・トロ)とサンチェスは、密告屋からの情報で大量の麻薬を搬送中のトラックを発見し犯人を逮捕。だが直後、犯罪取締官サラサール将軍率いる連邦警察が現れ、手柄を横取りされた上、麻薬カルテルの殺し屋の逮捕を命じられる。その頃、合衆国麻薬対策最高責任者に任命されたロバート(マイケル・ダグラス)は、麻薬犯罪の摘発に邁進していた。しかし私立高校で成績優秀なロバートの娘は麻薬中毒になっていた。同じ頃、仲間に裏切られ窮地に立たされた夫の麻薬王を救うため、彼の妻(キャサリン・ゼダ=ジョーンズ)はある行動をとる…。


ソダーバーグって、ちょっと過大評価されているのじゃないかな。デビュー作「セックスと嘘とビデオテープ」(1989年)がなかなか意味深な作品だったので、私なんかは騙された一人だ。

ソダーバーグ監督映画ランキングなんていうのがあって、これを見ると、「オーシャンズ11」(2001年)が第1位!これって、犯罪エンターテインメント映画じゃないか!

この「トラフィック」も、アカデミー賞4つ受賞と言っても、麻薬がらみのサスペンスと言えなくもない。麻薬撲滅団体からの覚えも愛でたきプロパガンダ作品であり、映画に芸術性や哲学を求める向きからはガッカリすること夥しいのだ。

群像劇を、黄色味がかったカラー(メキシコ)、コントラストの強いカラー(カリフォルニア)、ブルーがかったカラー(ワシントン)の3色で描き分けるなどの工夫があるが、重層的な表現は良いが、そのために後半はかなり錯綜したストーリー展開についていけない欠点にもなった。

マイケル・ダグラスはミスキャストだと思うが、キャサリン・ゼダ=ジョーンズ(撮影時は妊娠中)

の平凡な主婦が悪の道に入っていく味濃い演技はなかなかだと感服。


これは2000年公開の映画だが、あれから24年経って、アメリカの麻薬汚染はさらに進んでいると考えるのが自然だろう。メキシコとの国境を封鎖しようとしたトランプの真意が分かる。