全く知らなかった映画だが、これはなかなかの映画じゃないだろうか。映画「フォーリング・ダウン」(1993年 ジョエル・シュマッカー監督 1時間58分)のことだ。灼熱のロサンゼルスで、会社をクビになって交通大渋滞に巻き込まれた40男(マイケル・ダグラス)がキレて巻き起こす大騒動というか大事件。「オジサンは怒っているんだゾ!」というコメディタッチとちょっと精神を病んだサイコパスタッチが混じり合って、面白い。渋滞に車を乗り捨て歩き始めたこの40男は、離婚した妻(バーバラ・ハーシー)と幼い娘に会うのが目的なのだ。

これに、その日が定年退職日という老刑事(ロバート・デュバル)が絡んでくる。この老刑事のヒステリーの妻がチューズデイ・ウェルズというのが懐かしい。最後は別々に動いていたこの40男と老刑事がつながるという構成。

スタイリッシュな役が多いマイケル・ダグラスにこの40男をやらせたキャスティングが見事だ。


会社をクビになり、離婚された男の単なる疎外感

と哀しさとも違う、日常的にどこにでもあるアメリカの狂気を感じさせるブラックなユーモアが横溢した佳作だ。