雨が降る中を昨晩(3月5日火曜日19時開演)、都民フェスティバルの一環である森内剛(もりうちつよし)指揮読響(コンサートマスター林悠介)を聞きに池袋の東京芸術劇場へ。S席は元々なくて、A席4000円というお得価格に釣られた。

予定されていたピアニストの小井土文哉(こいどふみや)が体調不良で福間洸太朗(ふくまこうたろう)に変更されていてビックリしたが、むしろ格上に変更ではないだろうか。かなり急な交代だったようだ。調べたら福間が弾くベートーヴェンピアノ協奏曲第3番は昨年11月に藤岡幸夫指揮都響の八王子でのコンサートで聞いていた。この時はとくに印象も残らなくて、福間はやはりロマン派が得意なピアニストだなあという感想だった。


今回再聴してみると、福間は右手が恐ろしく回ってまた輝かしく、左手があまり強調されないピアニスト。ベートーヴェンの協奏曲などでは左手が形成する和声感が聞きたいのでちょっと不満が残る。しかし、遅いテンポで始まった第2楽章冒頭など実に思索的な深さを感じさせて感動した。第3楽章はテクニシャンぶりを存分に発揮した。


15分の休憩の後、後半はブラームス交響曲第1番だ。指揮の森内剛は2003年から在欧20年で現在は読響音楽監督ヴァイグレが音楽総監督を務めるフランクフルト歌劇場のヘッドコーチだ。日本では二期会で「魔笛」「清教徒」を指揮している。ヨーロッパではコンサートの指揮もしているが、

日本ではコンサート指揮経験はほとんどないようだ。今回はヴァイグレの推薦による出演だろう。

なかなか堅実かつ情熱的な指揮で読響の良さを引き出していた。現在日本のオーケストラでNo.1のオーボエ奏者の金子亜未、クラリネットの金子平を始めとした木管ソロ、トロンボーン、トランペットなど素晴らしかったが、日橋辰朗がトップのホルンは2度ほどハズしていたのが残念だった。この曲はやはりホルンがノーミスでシマラナイと感動が薄れる。


いずれにせよ日本ではあまり指揮しない森内のような実力派中堅指揮者がヨーロッパにはかなりいることを改めて認識したコンサートだった。


1階P列のほぼセンターという良席で聞いたが、焦点が定まらないぼんやりした響きだった。どうもこのホールの1階はダメだなあ。