雪が止んで雨に変わり、さらに雨も止んだので、

行ってみようか迷っていた高関健指揮富士山静岡交響楽団(コンサートマスター:藤原浜雄)のオペラシティコンサートホールでの19時からの演奏会に昨夜(2月6日)出掛けた。高関健は同楽団の首席指揮者だ。


富士山静岡交響楽団は、静岡県唯一の常設プロ交響楽団だそうで2020年に静岡交響楽団と浜松フィルが合体して出来た。名前が変だ。静岡交響楽団でよかったと思うが、どうなんだろう。日本のピアノの大半を製造する日本楽器(ヤマハ)や河合楽器が浜松市にはあり、静岡交響楽団だと静岡市の交響楽団みたいだという意見があったのか。

18時に着いたが、当日券売り場には私の前に7人ほどの列。幸い2階1列のほぼセンターという信じられない良席(S席当日券6500円)が買えた。


このコンサートに出掛けた理由は、指揮者が高関健で曲が我が最愛のブルックナー交響曲第8番だったため。私はいわゆるブルオタなのかもしれない。高関健指揮のマーラーの交響曲が良いのは分かっていたが、ブルックナーはどうか。

演奏前に高関健のプレトークが10分ほどあった。

今回の東京公演の前に静岡市と三島市で同じ曲の公演があったが、三島公演で第3楽章のハープのソロのところでスマホの20時の時報が鳴ったとかで、19時スタートをずらしたとか(笑)。


さて演奏だが、第1楽章、第2楽章があまり響いてこない。弦楽器と管楽器のマリアージュが上手くいってないようで、ヌケが悪くて音がダンゴになってしまう。そもそもオーケストラの音が美しくなくて余裕がないのか。とにかく良くない。やはり田舎オーケストラじゃないかと不満が募ったのだった。

しかし、第3楽章から一変。上記の不満が雲散霧消。ブルックナーの核心に迫るような素晴らしい演奏を聞かせたのだ。前半ミスが目立ったホルン、ワグナーチューバもオーケストラの中に溶けこんで好演。こんなことあるのかな。第3楽章、第4楽章の作品としての出来が断然良いということかな。因みに第3楽章のハープ2台によるソロのところで時計を見ると20時7分だった(笑)。第4楽章コーダはもうちょっとスケール感が欲しかったがそれはないものねだりか。


富士山静岡交響楽団、なかなかやるじゃないか、というのが率直な感想だ。第4楽章のフライング気味の拍手がなければもっと良かったのだが。


第3楽章であることが閃いた。あ、弦楽器は人類で、木管楽器は自然、金管楽器は神なのではないか。確かにそんな感じがしたのだ。人類の祈りを神は知らずに厳しく裁く。自然がそれを慰める。

たぶん、ブルックナーのコンセプトはそんな感じだったのではないだろうか。