昨晩(1月16日火曜日19時サントリーホール)、セバスチャン・ヴァイグレ指揮読響(コンサートマスター:林悠介)を聞いた。前日にWEBで購入したLB10列目15(S席8000円)という席だった。

最初のリエンツィ序曲(ワーグナー)で音がダンゴになっていて、こりゃ失敗したなと思ったが、その後の曲は問題なかったから、指揮者のバランスの問題か。しかし、盛り上がらない。「中庸」を絵に描いたような(?)演奏だ。

さて続いてお目当てのダニエル・ロザコヴィッチの登場。2001年ストックホルム生まれの22歳。

22歳にベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はまだ早いと思うが、レコーディング(ゲルギエフ指揮ミュンヘン・フィル)もしているという。父親はベラルーシ人、母親はキルギス人ということで、オペラグラスでよく見るとちょっと中央アジアっぽい風貌である。ヴァイオリンはストラディヴァリウスのようだ。

ナヨナヨまではいかないが、線が細くて美しい音だ。テクニックはもちろん完璧。悪くない。ベートーヴェンの協奏曲はそういう曲であろう。第1楽章は次第に熱を帯びて来る感じはなくてやや平板だったが、第2楽章は天国的な美しさ!これは見事。第3楽章はまあ普通の出来栄えだ。この後どうなっていくのかな、この22歳。


アンコールはバッハの無伴奏ソナタ第1番ト短調第1楽章。バッハらしい「芯」が無い演奏だが、美しいことは美しい。


後半はリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」。会場設置のパイプオルガンをフル活用した音響だが、なんとなく「中庸」なのだ。7曲目「病の癒えつつある者」のトランペットの難所(ド、ド、ド、オクターブ上のド)は見事(辻本憲一)だったが、ホルンがトチリ過ぎて興醒めすること夥しい。しかし、この曲、弦のパートが細かく分かれている超難曲なのを改めて知る。もうちょっと冴えた演奏を期待したが、お正月気分抜けず、まあ仕方ないか。ヴァイグレって、「中庸」の指揮者ですから。