早稲田松竹で、オタール・イオセリアーニ監督(1934年ジョージア生まれ。1979年にパリに移住)の映画「歌うつぐみがおりました」(1970年 1時間22分)の最終上映を見た。

概要とストーリーは以下通り。

「月曜日に乾杯!」などで知られる旧ソ連ジョージア出身の名匠オタール・イオセリアーニが1970年に手がけたコメディ。ジョージアの首都トビリシを舞台に、自己中心的でお調子者だがどこか憎めない青年のせわしない日常を描く。
オペラ劇場のオーケストラの一員であるティンパニー奏者ギアは遅刻の常習犯で、練習の時のみならず演奏会にも度々遅刻する。さらに本番中にも出番の合間に会場を抜け出して街へと繰り出し、終演間際に慌てて戻って来てどうにか最後の一打に間に合わせる始末。女性や友人、家族に対してもルーズな彼は、約束を交わしては忘れたり突然家に押しかけたりと自分勝手な行動を繰り返すが、その憎めない人柄は周囲の人々を魅了していく。
日本では2004年開催の特集上映「イオセリアーニに乾杯!」で初公開された。



今年2月に「イオセリアーニ映画祭」があって4本ほど見て、その独自の映像の素晴らしさに感銘を受けた。そのつながりでこの映画が気になっていたのだが、ちょっと期待ハズレだった。イオセリアーニはトビリシ音楽院作曲科出身だから、こんな男が周りに実際いたのかもしれない。しかし、本当にせわしない男で見ている方がイライラしてくる。映画中に使われるマタイ受難曲も使い過ぎだろう。ラストももっときちんと描くべきなのではないか。この映画はコメディということだが、もっと丁寧に作れたはずだと思う。残念な一作。