7月23日日曜日放送のNHKEテレクラシック音楽館を録画で見た。「伝説の名演奏」というシリーズで、ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908〜1989)と彼が終身芸術監督を務めた(1989年4月に辞任)ベルリン・フィルとの演奏だ。ベルリンのフィルハーモニーにおけるライブ収録だが、かなり修正されている印象だ。放送されたのは以下の3曲だった。

・1972年のアレクシス・ワイセンベルクとのラフマニノフピアノ協奏曲第2番

・1973年12月のチャイコフスキー交響曲第5番

・1973年1月のブラームス交響曲第3番




カラヤン60歳代中頃の全盛期といっていい演奏だろう。カラヤンは目をつぶって、実に細かく指揮している。1978年の70歳時にカラヤンは脳梗塞になる。このあたりから、カラヤンは健康を損ね脊髄などの手術を繰り返す。1983年あたりからは目を開けて指揮(暗譜ではある)するようになっている。だからこの目を閉じての指揮姿は全盛期と言えるのだ。


しかし、今回TVで見てカラヤンの指揮姿はあまりにも細かく振り過ぎていて、ちょっと滑稽にすら感じられた。音楽との一体感というより、音楽に合わせて指揮しているような感じすらする。こんなことを感じたのは今回が初めてだ。


私は、中学1年生の時に、カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団を指揮した17cmLPを聞いて本格的なクラシックファンになった。それ以来カラヤン崇拝者であった。しかし、大学生のあたりから録音は悪いがフルトヴェングラー(1886〜1954)のデモーニッシュな演奏を知って、スタイリッシュでエレガントでダイナミックなカラヤンから距離を置くようになった。


そうしたカラヤン観は今まで続き、久しぶりにカラヤンの指揮姿を見て滑稽にすら感じた自分に驚いた次第なのだ。演奏までちょっとせせこましく聞こえたから不思議なものだ。