仕事が早く終わったので、ネットで当日券(1月20日)を買って19時30分からのトゥガン・ソヒエフ指揮N響のコンサートを聞きにNHKホールへ行った。休憩のないショートプログラムだ。これなかなか悪くない。チケット代も幾分安い。


意外にもソヒエフ(1977年10月21日生まれ45歳)はN響とは3年ぶりの共演だという。ソヒエフはロシアのウクライナ侵攻のあおりを受けてボリショイ劇場とトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の音楽監督を辞任している。オセチア生まれでキャリアを見るとゲルギエフ一派と見られているのかもしれない。



最初に15分ほどのラフマニノフの初期の交響詩「岩」。youtubeで予習(スヴェトラーノフ指揮ロシア国立管弦楽団)してきたが、「岩」という副題が悪い。人生に疲れて流刑地のような炭鉱に向かう途中の中年男と偶然居合わせた若い女のある宿での一夜と翌朝の旅立ちを描いた短編小説に基づいているらしいが、まとまりがない曲だ。スヴェトラーノフの爆演に比べてこの夜の演奏はかなり洗練された仕上がりだ。

メインは、45分ほどのチャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」。あれ、これ2019年12月12日(2日目)にパブロ・エラス=カサド指揮N響(サントリーホール)で聞いていたわ。エラス=カサド(1977年11月21日生まれ45歳)のN響定期的デビュー(サマーフェスティバルとかミュージック・トゥモーローなどではすでに共演)だった。スペイン人のチャイコフスキー?と思っていたら、これが素晴らしい名演だったのだ!コロナ禍が始まる寸前の本当に幸せな日々だったなあ。


それに比べると、この夜の演奏(コンサートマスター白井圭)は、個々の演奏(第2楽章のオーボエ吉村結実は最高!ホルン今井仁志も見事!)は上手いのだが、なんかアンサンブルがうまく噛み合わない感じで、淡々として盛り上がらない。N響独特の体温の低い演奏と言うのかな。2日同じプログラムをやる初日だからか?それともNHKホールというホールのためか?席は1階13列23番とほぼベストなはずだが。このホールの1階はあまりにデッドで響かないのを今更ながらに実感する。


それでもさすがに終楽章は、じっくりしたテンポで盛り上がりを見せて終結。サントリーホールだったら、違った印象になるのではないかな。


観客のみならずオーケストラからも盛んな拍手を指揮者のソヒエフ 。この夜は指揮棒はなし。