TV放映を録画していた映画「悪魔のような女」(1955年 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督 1時間47分)を見た。ボワロー&ナルスジャック原作のスリラー映画だ。谷崎潤一郎が見て感銘を受けエッセイを書いた映画として有名だ。

以前見たことがあったかな。いや、いくらボケてもこんな強烈な映画を忘れるわけはない!是非鑑賞して欲しい映画だ。

しかし、ひとつだけキャスティングに問題を感じた。ある私立学校の校長(ポール・ムーリス)とその学校を創設した資産家の妻(ヴェラ・クルーゾー)と愛人で女教師(シモーヌ・シニョレ)が主要登場人物なのだが、この愛人役のシニョレ(上掲写真左端のサングラスの女)のキャラが強すぎて、ワガママな妻にウンザリした男がこんな女を愛人にするものなのかな?と思う。

むしろこの2人の女は、配役が逆なんじゃないかな?とも思えてくるのだ。それぐらいこのシモーヌ・シニョレという女優の存在感が強いのだ。


ワガママだが弱々しい感じの資産家の妻役ヴェラ・クルーゾー(1913.12.30〜1960.12.15)は、この映画の監督であるクルーゾーの妻だ。


アンリ=ジョルジュ&ヴェラ・クルーゾー夫妻(1953年)


しかし、夫と共同脚色を務めた1960年の映画「真実」で、同映画の監督もしていたクルーゾーと主演のブリジット・バルドーの仲が取り沙汰されたのを知って神経衰弱になりパリのホテルの浴室で心臓麻痺により46歳の若さで死んでしまう。服毒自殺の説もあるという。なにやら映画のような話である。このヴェラは、クルーゾーの代表作「恐怖の報酬」(1952年)にも出演していた。