当日(9月27日)券販売があって、プログラムが実に魅力的でネットで買ってしまった。実に久しぶりに上野駅で降りると、上野駅公園口がすっかり変わっていて驚いた。すでに3月20日にお披露目されていたという。東京文化会館に行くのに、信号待ちが無くなった。開演時刻ギリギリでこの横断歩道の信号無視の常習犯だったから、これで交通事故死せずに済む(笑)。


颯爽と現れた指揮者のレネスは9歳のときに体操でオランダ1位になったこともあるというから、小柄なのかと思ったら、スラっとした長身。なかなか歯切れのいい指揮だ。「さまよえるオランダ人」序曲から都響を見事にドライブしている。音は明るく後期ドイツロマン派の音ではないが、楽想を描き分けた演奏(ホルンのミスが惜しい)で、金管群の咆哮に負けない矢部達哉、四方恭子のダブルコンマス率いる弦楽器(16型、CB8型)がなかなか強力だ。


プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番の独奏者は松田華音(かのん)。高度なテクニックで弾き通したが、一生懸命という感じで余裕がなくてリズムの諧謔性、曲想の転換の妙味、音色の変化などは今ひとつ。なんか、音が立っていないと感じたが私の席は18列センターなんだが席のせい?予習でアルゲリッチを聴いていたせい?アンコールはラフマニノフの「楽興の時OP.16」から第6番。これも指は回るが音が立っていない。


後半はプロコフィエフ交響曲第5番。楽想を上手く捌いた明るい音色の演奏。ただ、構造的ではなくて、この曲に内在する不気味さが描けてはいない感じ。この曲は「ロメオとジュリエット」や「ピーターと狼」と同類ではないはず。


指揮者のローレンス・レネスはマルタ系オランダ人(母親がマルタ人ということか?)の指揮者(51歳)で2回目の都響登場。最初は自作を振る予定だったオリヴァー・ナッセンが急死してその代役だった。熱演に拍手が止まず、オーケストラが引き上げた後も、ステージで「一般参賀」に笑顔で応じていた。