日本のオーケストラのレベルは近年急速ににレベルアップしているが、それに伴い音楽大学の学生オーケストラもレベルアップしている。特に音大学生オーケストラは一所懸命弾くアマチュアリズムがベースであり、また曲に対する思い入れ(演奏したい曲を全員で決めるのだろう)があり、思わぬ熱演に出会えることが多い。いうまでもなく、音大の学生オーケストラは愛好団体ではなく、プロを目指している学生のオーケストラであり、もしかしたらプロオーケストラのスカウトマンが来ているかもしれないのだ。


本日(9月25日18時30分開演)も大当たりだった‼️

9月20日に既に1回目の演奏会があったことが大きかったかもしれない。「学生だなあ」と思ったのは、最初の「セミラーミデ」序曲の冒頭のホルンぐらい。


2曲目のリストの独奏者の同大修士課程ヴィルトゥオーソ科1年の吉田サハラ君は大注目だ。今回同大内の学生オーディションで選ばれたという。強靭な打鍵(弱音も粒立ちも鮮やか)と驚異的テクニックの持主でしかもこのリスト第2番ピアノ協奏曲の構造を完全に把握していた。プロでもここまで弾ける演奏家はなかなかいないのではないだろうか。


後半はラフマニノフの交響曲第2番。聞いたことのないフレーズがかなりあったから完全版なのではないだろうか。歌いに歌い、吠えに吠える激烈でロマンティックな演奏だった。ホルンのトップの女子、クラリネットトップの男子、イングリッシュホルンの女子なんかはプロ顔負けの演奏で酔わせてくれた。ただ、弦はもっと哀切な表情が欲しいがこれはないものねだりかな。


本当に楽しめた演奏会で大満足。これで1500円(全席同額)は安い。客の入りは半分ぐらいか。2階センター最前列が空いていたので、申し訳ないが移動して聞いた。ここがこのホールのベストのはずだが、最近聞いた1階センター最後列ふたつ前あたりの方が繊細な音がしていた。ここ東京芸術劇場はベストポジションが本当に難しい。