TV(NHKBS)で放映された映画「バニー・レークは

行方不明」(1965年 オットー・プレミンジャー監督 1時間48分)は「行方不明(ミッシング)もの」としては、なかなかの傑作だった。この手のサスペンス映画ファンなら見逃せない1本だろう。モノクロなのが古さを感じさせるが、引き締まった映像との評価もあるだろう。小品ながら、オットー・プレミンジャー監督の代表作の一つだろう。


私は「ゴーン・ガール」(2014年 デヴィッド・フィンチャー監督 2時間29分)がこの手では最高傑作だと思う。



展開の見事さに加えて、この映画は配役が実にいい。捜査にあたる警視役の名優サー・ローレンス・オリヴィエがさすがにシェークスピア俳優としての貫禄を見せ、悠揚迫らざる演技。愛娘がいなくなるシングル・マザー役のキャロル・リンレイはこの映画と「枢機卿」(1962年)、「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年)あたりが代表作だろう。セクシーでちょっとメンヘラな母親役を好演している。

そしてその兄役のキア・デュリアこそ、あの「2001年宇宙の旅」(1968年 スタンリー・キューブリック監督)でボウマン船長を演じた男優である(下掲写真右)。



キューブリック監督は「2001年宇宙の旅」のキャスティングにあたりこの「バニー・レークは行方不明」を絶対に見ているはずである。


この他に、事件の舞台になる保育園の屋根裏部屋に住む保育園の共同経営者の老婆、人形修理の老人などちょっと「変な人々」が登場するが、この小品を味わい深くしている。さらに、シングルマザーの家の家主に俳優、小説家、映画監督のノエル・カワードが出演してその怪人ぶりを発揮。ローレンス・オリヴィエとのやりとりなど必見のシーンだろう。