昨日(2月28日14時)東京芸術劇場で、大野和士指揮都響のコンサート。なかなか魅力的なプログラムだった。
前半はまずサンサーンスの「死の舞踏」。面白い曲。シロフォンで骸骨の骨の重なり合う音を表したり、クラリネット(名古屋フィル首席のロバート・ボルショスのゲスト出演らしいが上手い!)が夜明けの鶏のコケコッコーを模したり。調弦を変えたヴァイオリン2丁持ちで死神を表現する四方恭子コンサートミストレスはもう少し弾けてほしかった。
江口玲(あきら)のピアノ独奏を加えてリストの「死の舞踏」。このピアニストは伴奏スペシャリストかと思っていたが大誤解。すごいテクニシャンでこのバカテク曲をホロヴィッツばりの凄い打鍵の爆音演奏。スタインウェイがこんなに鳴るのを聞くのは初めてかも。アンコールがまたまたホロヴィッツを倣ったのか「トロイメライ」。しかしなんか違う。ホロヴィッツの味わい深さが懐かしかった。
実は、このコンサートにやって来たのは後半の最初の曲にコダーイの「ガランタ舞曲」があったためだ。ロマ(ジプシー)の舞曲やマジャールの新兵募集の古い歌がテーマに使われていると言われる哀愁に満ちた曲。ガランタはコダーイが幼少期を過ごしたハンガリーの小さな町。父がガランタ駅の駅長だったのだ。私の妄想かと思うが、この曲、蒸気機関車が田園を疾走する風景が見えませんか?やはり幼い頃小さな田舎町に住んでいた私は汽車が走るのを見に近くの踏み切りまでよく行っていたのを思い出す。またまた目頭が熱くなった。東京ビッグ3オケ中で一番必死に弾くのが都響だと思うがコーダの速弾きに興奮。
ヤナーチェクの狂詩曲「タラス・ブーリバ」も名演。オルガン(ミューザ川崎ホールオルガニスト大木麻里)がこんなに見事に生かされているのは、録音では分からない。「シンフォニエッタ」に押されているが、この曲もなかなかの名曲である。親子の愛、敵方王妃との許されざるロマンス、草原を疾駆するコサックの勇猛が見事に織り込まれている。
いやあ、お腹一杯のコンサートだった。
