シーザーを誘惑するクレオパトラのシーン
それでTV録画してある2012年5月25日、27日のザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭の公演を予習がてら視聴してみた。これが実に素晴らしい公演でそのまま新国立劇場に持ってきて欲しいぐらい。バロック・オペラ上演の最大の問題点は、長時間の上演時間(「ジュリアス・シーザー」では4時間20分)だろう。それと歌の繰り返しが多い点。これは演出がかなり面白くないと、まず退屈する。その点この聖霊降臨祭音楽祭公演は、モーシュ・レゼール&パトリス・コーリエの演出が素晴らしい。現代に時代背景を移し、コミカルであからさまなSEX描写とグロテスクな表現が時間を忘れさせてくれる。
バロック・オペラの上演の難しさは、カウンターテノールのかなり必要なことだ。この聖霊降臨祭音楽祭では、シーザー役のショル、セスト役のジャルスキー、トローメオ王役のデュモー、ニレーナ役のコヴァルスキーなどスターが勢揃い。加えてクレオパトラ役はバルトリ、コルネリア役はオッターという2枚看板。そしてアントニーニ指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏が実に見事。
最後のシーンは、メデタシメデタシのパーティシーンだが、ちょっと一工夫してある。とにかく最上級の賛辞を贈りたい公演だ。さあ、新国立劇場の「ジュリオ・チェーザレ」(来年4月7日、11日、12日)が楽しみになって来た。