実家に到着した翌日、
さっそく朝一に病室へ行き、父を見舞いました。
そこに居たのは、
これまで私が一度も見たことがない、
「病人」としての父でした。
「おう、来てくれたのか。ありがとなあ。」
ベッドに横たわり、下から首を起こすようにして私を見上げる父。
右手首には、点滴のチューブが繋がれて、
テープでしっかりと固定されています。
その声は心なしか弱々しくて・・・
「飲めない・・・?って、ほんと?!」
挨拶もろくすっぽしないまま、
私は思わずそう訊いてしまいました。
「そうなんだよなあ・・・なんでかなあ・・飲めないんだよ。」
父自身も、自分が突如見舞われてしまったこの症状が
不思議でたまらない・・と言った風情。
そんな私たちのやり取りを見た母が、
「ね?なんて説明したらいいか、困るでしょ?」
と、一言ため息交じりに呟きました。
この「物が呑み込めない」と言う症状は
俗に「嚥下(えんげ)障害」と言うそうです。
主に、脳梗塞を患った方や、
食道ポリープ(悪性腫瘍)が出来た人などに出る症状らしく、
私が見舞った前日、父は隣町の「日赤病院」で、
その権威と言われる医師の診察も受けており、
「脳梗塞」や「ガン」の疑いは無いとのお墨付きをいただいていました。
その嚥下外来の権威と言う医師さえも、
「〇〇さんの状態は、非常に珍しい症状です。
今のところ、はっきりした原因が特定できないので、
逆流性食道炎と言うことで、入院しながらリハビリを続けてください。」
と診断を下したのでした。
今日も最後までお読みくださり
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さとう美雨
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