10月16日(日) 晴れ

 

前回の記事からの続きです。

 

「ふれあいらんど岩泉」には、「寝台列車ブルートレイン日本海」がある。ただ展示しているだけではない。

 

初めに、結論を言おう。なんと一両貸し切り、16000円で宿泊できるのだ!!

家族4人で宿泊しても、周囲を気にすることなく32席を独り占めできるとあり、人気のプランだそう。

(※2022年10月16日現在、通常料金B寝台の価格)

 

 


では、その内部を見て行こう。

 

 

まず初めに「寝台列車」の存在を知らない方に説明したい。

 

その名の通り「布団に入って寝ながら移動できる」列車で、「夜行列車」ともいい、昔は全国各地を運行していた列車だ。

 

例えば、東京-青森間は列車で12時間かかるので、寝台列車に乗り長い移動距離を睡眠時間を利用して移動した。

 

今では同じ距離を新幹線で3時間。あっという間に行くことができる。いつの間にか便利な時代になったと、しみじみ思う。

 

 

 

さて、ルームツアーに戻ろう。

 

寝床は二段ベッド仕様になっており、上段だけでなく下段にも、引出し型の柵が付いている。

布団が用意されていて、就寝時は自分で敷く。

 

ベッド上段には、このはしごで上る。

 

ふと、昔の思い出がよぎる。


小学3年生の時の話だ。母は下の兄妹たちの世話で忙しく、父は、小学生だった兄と私を大阪旅行へ連れて行ってくれた。

 

夕方、父と兄と3人で寝台列車に乗り込み、駅で買ってきた弁当を食べる。食べ終わるころには、窓の外は暗くなっていた。


就寝時間までゆっくり過ごしたあと、ベッド周りのカーテンを閉め、床に就く。


寝台列車の独特の匂いは、横たわると一層感じる。ガタンガタンと体に伝わる列車の振動。


興奮した気持ちも相まって、眠れそうにない。

 

大阪城や、ポートアイランドで観光をさせてもらった後、帰りの寝台列車に乗る。


兄の枕元には、大好きだった祖父への土産袋。それを何となく見つめながら、ウトウト…。

 

朝が来て、着替えをしていた時。

ワンピースの後ろについたリボンをうまく結べずにいた私。


いつもなら、母がやってくれるのに…と、寂しさで泣きそうになった。

 

すると、向かいにいた、見知らぬおばあさんが「おいで。」といい、可愛く結んでくれた。照れくさそうに、礼を言う父。

 

優しくされた思い出は、今でも覚えている。

 

 

大分、話がそれてしまったが、元に戻そう。

ベッド上段奥には、荷物収納スペース。

 

場所を車両奥へと移動しよう。トイレと洗面所が2つずつある。

 

トイレのドアを開けると、銀色の便器。懐かしい(笑)。

昭和感あふれる…、いや、昭和でしかない寝台列車「ブルートレイン日本海」。

 

写真を撮るのに夢中だった私。ふと気が付くと、子どもたちが物珍しい車内をあちこち探検している。いつか家族でここに泊まり、子どもたちに色々な思い出を伝えてみたい。

 

↑ヘッドマークを「あけぼの」などに変えることもできる。

 

10年ほど前に廃止になった「ブルートレイン日本海」。出身が青森県だと伝えると「実は、このブルートレインも元々は青森にあったものなんす。」と話すのは「ふれあいらんど岩泉」副支配人の伊達さん。

 

「車両の劣化が目立ってきた数年前、クラウドファンディングで塗装のための資金を募ったんです。」目標よりも多く集まり、驚いたという。塗装が終わった後も、同車両の修繕や維持に役立てているそう。

〈スマホカメラを向けると、さわやかな笑顔でピースサインの伊達さん。〉

 

 

路線で廃止になった「ブルートレイン日本海」は、人々の沢山の思い出と共に、今も岩泉町で愛され続けている。

 

〈おわり〉

 

ふれあいらんど岩泉

所在地  岩手県下閉伊郡岩泉町乙茂大向48

電話番号 0194-22-5211

公式HP