「あれ?そーいえば矢吹さん、最近せっかくのお弁当の日なのに
テンション低くないですか?」と早乙女ちゃん。
「……」
最初こそ、シロさんお手製のお弁当を喜んでいたケンジでしたが
すぐに疑問が浮かびます。
「……ねえ、どうして毎月一回、週末にお弁当必ずつくるの?
どこに行ってるの⁉ ねえ、誰と会ってんの⁉」
「え、えーと……」。
そうです。依頼人である今田さんと2人で、彼女の息子、大樹くんを
見守りに行ってたわけで。
それを聞いたタブチくん。
「えーー!月に一度も依頼人の女と2人で遊園地とか
水族館で弁当を⁉ ほとんどデートじゃないすか、それ!」
「わ~~~ん。言わないでよう~~。今はそれでも2~3ヵ月に
いっぺんくらいに減っているんだから~~~」。
シロさんがカッコいいと聞いていたので、タブチくんはその依頼人が
シロさんに惚れちゃったらどうするのかと煽ります。
「いっぺんしつこく追及したら、もんのすごくシロさんに逆ギレされて
それ以来、何にも言えなくなったのよ……」。
その時のシロさん。
「あのなあ、俺だって行かなくていいんなら行きたくなんかないの!
けど仕事なの!いっぺんだって“次のお昼ご飯は私が用意しますね”
と言ったこともない依頼人と一緒にな!」
シロさんとケンジの関係がこじれないか、ワクワク、キラキラしてる
タブチくん。好きだよね、こういう話。
ところで、ドラマは何で林田くんなんだろう?
2期にはタブチくんがキャスティングされるのかな……期待。
その日、テンション落ちたままのケンジが帰宅すると
「解放された~~~!」とシロさんが抱きついてきました。
「え、え、え~~~……?」
「キャッホー!3年越しの面倒な仕事から、これで解放されたぞ!」
3年間も続ければ、大樹くんも気づき始めていて、そのうち
遊園地という年でもなくなると、今のお母さんが大樹くんに
すべてを話したそうです。そして手紙とともに大樹くんの
ビデオレターを送ってくれたとのこと。
「情緒不安定だった私が、この3年間、先生と一緒に静かに大樹を
見守れたからこそ、あちらもこういう判断をしてくださったんだと
思います。本当に……先生のおかげです。本当に今まで
お世話になりました。ありがとうございました」。
深々と頭を下げてお礼を言う今田さん。
いくら仕事とはいえ、休日の付き添いを3年間も続けるなんて
弁護士さんって大変だね。しかもお手製のお弁当つきで。
「そんなわけで、これから俺の休日は完全フリーだ!
ケンジ!今度の土曜、お前の仕事が早めに終わったら
2人で夕飯どっか外へ喰いに行こう!俺のおごりで!」
この笑顔のシロさん、カッコいいわ~♥
「行っくーーーー!」
「ハッハッハ、なーーー!」
そして土曜日。
ケンジは早上がりができることになり、朝から何を食べに行こうかと
大盛り上がりです。
ピンポーン。そこへ宅配便が。今田さんからのクール便です。
開けてみると……。
ドーンと目に入ったのは、和牛サーロイン極上霜降り肉、しかも6枚。
「ケンジ、今日の予定変更。外食取りやめ、家でステーキな」
「うわ~~~~ん!」
「すまん、ホンットーにすまん」。
夕食のメインはステーキなんだけど、付け合せを何にするか……。
「ちゃんと全部洋風にしてよ!ステーキにおひたしとか酢のものとか
やだからね!ぷんだ!」と出勤していったケンジを思い出すシロさん。
付け合せは、さやいんげんのソテーと粉ふきいも、そして
簡単ピクルスとキャベツとベーコンのスープ。
お詫びの印に缶ビールもついてます(笑)。
シロさんとのデートがキャンセルになってがっかりして帰ってきた
ケンジも、ステーキの迫力に目を見張ります。
乾杯後、一口食べて「やっぱり、おいしーーーい……」と2人。
「なー、ケンジ、知ってるか?人間って肉、特に牛肉喰ったときだけ
脳内に何とかいう、シアワセ物質が出るらしいぞ……」。
「うわ~~ん、それわかるぅ~~~」。
おいしい食事に会話も弾みますが……。
食べすぎました。
「シ……シロさん、胸やけが……」。
「そんな訳で明日もステーキだからな、ケンジ……」。
年齢的なこともあるとは思いますが、それよりふだん、かたまり肉を
食べつけていない2人には厳しい、今田さんからのお礼でした。