
禁煙したい。
煙草を吸うようになって
かれこれ15年くらいになる。
高校時代に
悪戯に吸ってみたものの
愛煙家になるほどまでには
至らなかった。
煙草を手放せなくなったのは、
皮肉にも難病で入院してから。
今でこそ病院の殆どは禁煙だが、
当時は喫煙所があった。
苦しく退屈な入院生活で
唯一の拠り所になったのが、喫煙だ。
当時の旦那も、
その後の彼氏も煙草を
吸っていた事もあって、
喫煙所についていく事が多かった。
そこでは、
同じく苦痛な入院生活を
送る患者達の社交場だった。
互いの病気を案じ、
その日の食事を憂い、
医者、看護師を始めとする
病院内の噂を語り合う。
この患者達の生きた情報が
無味乾燥な入院生活を
どれだけ彩ることか。
旦那や彼氏が
見舞いに来ない日も
自分は煙草を吸いに
喫煙所に通い始めた。
そこで出会って語り合った人々。
「知ってるか?
ここの病院は階が上がっていくごとに
重病だっていうらしいぜ」
その時、自分は最上階に近い
17階にいた。
隣の病棟は、
循環器内科だった事もあって、
肝臓を悪くした患者が多かった。
いつも喫煙所に顔を出す
常連さんが来ない日、
その人が肝硬変で亡くなったと
聞かされた。
病院はいつだって
生と死と向かい合わせだ。
自分だって難病ゆえに
確立した治療がなく、
発作を起こす度に点滴しては
悪化したり、回復したりを
繰り返していた。
ある時は、
みんな食事時間なので
病室に戻る筈なのに
ひとりぽつんと喫煙所に
佇む患者がいた。
煙草を吸いながら訳を訊くと、
消化器の難病らしく
食事しても栄養を吸収できないと言う。
「病室にいると、
美味しそうな匂いがして
お腹すいちゃうのよね、
もう一生食べられない身体なのに」
病院の喫煙所では
様々な人々と出会った。
匂いにも味にも癖のある
BLACK STONEのCherryを愛煙していた
患者とは退院後も交流があったが、
後に医療ミスで帰らぬ人に。
性格も一途で吸う煙草も
CASTERをずっと愛煙している
性同一性障害の子とは、
今でも交流がある。
煙草が与えてくれた時間と人は、
今となってはかけがえのないものだ。
ちなみに今の彼氏も
出会った時から強い煙草を吸っていた。
今や煙草も440円。
まだワンコインで買えるが、
また煙草税の引き上げで
1000円近くになるだろう。
金銭的にも、勿論、健康的にも
禁煙したいね、と彼氏と言っている。
Marlboroの一番強い通称「赤マル」を
吸っていた彼氏は
徐々にニコチンとタールを減らし、
今ではMarlboro Ice Blastを
吸っている。
自分もMarlboro Light Mentholから
ニコチンとタールを減らし、
今はPIANISSIMO Preciaを
吸うようになった。
一時、風邪を拗らせて
煙草が美味しく感じずに1日10本も
吸わない時があって、
このまま禁煙できるか?と
期待を抱いた。
が。
その後、仕事で多忙を極めた時、
ノイローゼになり、
煙草の量がぐんと増えてしまった。
未だにその感覚を
引きずっていて
1日1箱で済まない。
昨日、彼氏が
「これ買ってみたよ」
と言ってMarlboroの新作である
W-BURSTを見せてくれた。
彼が愛煙しているIce Blastと同様
フィルターにカプセルが装填されており、
それを潰して吸うことで
メンソール感が倍増するのだが、
なるほどダブルという名前だけあって
カプセルが2つ仕込まれてある。
1つ目のカプセルは
メンソール感倍増、
2つ目のカプセルは
ミント感を引き出すという
謳い文句。
彼から1本貰って吸ってみたが、
元々強いメンソールに
ミント感が加わって、
かなり強烈にスースーする。
メンソールの煙草しか吸わない自分に
とって、その刺激は美味しく感じた。
という訳で、
買ってしまった。
それまでタール1mgで
抑えていたのに
W-BURSTで5mgに
手を出してしまった。
昨日、あれだけ彼氏に
吸い過ぎだとか、買っちゃだめとか
言われていたのに。
禁煙への道のりは遠い。
BGM:THEE MICHELLE GUN ELEPHANT「VEGAS HIP GLIDER」