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意地悪そうに笑って、菜々美ちゃんは席に戻った。
私は、仲の良い友達にチョコを配って回った。
チラチラと奏が私を見ているのが、視界の端に入ってくる。
上手く例えるなら、犬が尻尾振って待ってる感じ。
小型犬だな、奏はきっと。
いや、そうじゃなくて、チョコをどうするかだ。
家に用意したと言えば、学校は乗り切れる。
放課後に買いに行くのもありだけど、一緒に帰るからそれは却下。
一緒に帰っても、そのまま家に来るだろうし、作り直しはできない。
こういう時、幼馴染だと困るんだよね。
嘘ついても、癖でばれちゃうし。
家が近いから、着替えて再集合となっても、十分くらいだろうし。
午前中の授業はまったく、頭に入らなかった。
お昼は、菜々美ちゃんたちのグループで食べることにした。
こうなったら、知恵を借りるしかない。
「え、あやかちゃん。本命チョコ無くしたの?」
「はい・・・。」
「家にもなくて、袋にもなかったんだって。」
「家には、誰もいないの?」
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