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「おい、あやか・・・?」
「それに、名前。かなって区切られるの嫌いなんですよ。だから、奏君のほうがいいですよ。」
「・・・・・。」
「あぁ、それと、人前でベタベタするのも苦手ですよ。」
「・・・・・。」
「最後に、一つだけ、奏は、嘘つかれるのが大嫌いなんです。それだけは、しないほうがいいですよ?」
「あやか、もういいから。」
「・・・私帰るけど、奏はどうする?」
「あぁ、帰る。ごめんね、先輩。」
「カナ君・・・?」
奏は、付き合ってから初めて、先輩と帰らなかった。
私と奏は帰り道に、とくに会話もせず歩いた。
なんとなく、奏が座り込んでいる時の、雰囲気がいつもとは違っていた。
もしかしたら奏は、先輩のことで悩んでいるのかもしれない。
なにかは、わからないけど。
それを私に相談したくて、待っていたのかも。
家に帰って、夕飯を済ます。
いつもならすぐに、私の部屋でゲームをする奏だけど、今日はソファーに座って、ぼぉっとしてる。
きっと、話すタイミングを見計らっているんだろう。