先日、このブログのコメント欄に、
とある方からお便りを頂きました。
今までしたことありませんでしたが、
今夜は月の満ち加減がよろしいようなので、
その「タクさん」からのお便りに返事を書きたいと思います。
ちなみに「タクさん」は男性で、
同じ職場の男性のことを好きになってしまい、
現在、行き場のない恋心を燃え盛らせていらっしゃるそうです。
たぶん若い方だと推測します。
21歳ぐらいの時に、猛烈に好きになった男がいました。
その男は年下のノンケ(女性が好きな男性)でした。
もちろん、にっちもさっちも行かず、
もちろん、真面目に「好きです」なんて告白できるような状況でもなく、
彼氏になれる可能性はマイナス50%ぐらいで、
ましてや彼女になれる可能性などマイナス200%ぐらいで、
だけど世話好きな兄貴になるのも嫌で、
物分かりの良い姉貴になるのも嫌で、
無償の愛を注ぐ母親になるには、私はまだまだ自分のことが大事でした。
それでも、そんな袋小路の感情を抱えて毎日生きていることが、
自分に対しての最大のカミングアウトになったような気がするのです。
もちろん結果論ではありますが。
酔った勢いで、
「実は〇〇のことが好きで好きでおかしくなりそうなんだよねー!」と、
みんなの前で叫んでみたり、
生まれて初めて男子とのツーショット写真を額に入れて部屋に飾ったり、
そんな愚行をとりあえず実践することで、
多かれ少なかれ、私は私なりに同性愛者としての成長をしたように思います。
ノンケを好きになると、
例えばその人が好きな女優やアイドルのことが、
無性にムカついたり、
普通に仲の良い友達でいられる男たちに、
腹が立ったり、するものでした。
彼の将来像の中に、
自分の立ち位置がどこにもないことが、
ただただ虚しくて、
だったら、「彼が喉が渇いたら最初に水を持っていこう」とか、
「彼が新しい服が欲しそうだったら自分が買ってあげよう」とか、
自分の「貢ぎ体質」に気づいたのもその頃でした。
彼女を紹介されたら、
「ニコニコしながら、とびきりの厭味を、
ユーモアたっぷりに喰らわしてやろう」と、
今の芸風を築いてくれたのも、
「むしろ彼と彼女のHを想像して興奮材料にしてやろう」と、
性癖に磨きをかけてくれたのも彼でした。
そんな風に半年から1年ぐらい、
心と頭と体をフル回転させていたら、
ある朝、脱皮をしたように軽くなっていました。
あとは、ひたすら恋とHとハートブレイクに明け暮れる、
それはそれはめくるめく日々が待っているはずです。
なので、
私は今でも、
無理にその彼と距離を取ったり、
意地悪したり、
自分の悲恋に浸り過ぎたりせずに、
粛々と彼を想い続けてよかったなと思っています。
若さというのは、
「自分を大事にする時間が割ける」
ことだと思います。
歳を取ると、自分だけのために生きているのが、
しんどくなってきます。
だからみんな世のため人のため家族のために働くのです。
「若かった自分」は、その後の人生にとって大事なものですし、
特にマイノリティと言われる人生を送る人には、
『お守り』的な存在になります。
武勇伝を作る必要も、
過剰な傷を負う必要もないと思うので、
とりあえずは、
色や形の良い「お守り」を選ぶぐらいの気持ちで、
もがいてみてはいかがでしょうか。
きっとこの先も、
自分でも呆れるぐらいに、
「あなた以上に愛する人はいない」という人ばかりが、
毎回現れますから。
その内の8割ぐらいが成就しなくても、
また次に行けるようにするための「お守り」だと思って。
あと男って、
それでも結婚式の案内とか送ってくる鈍感な生き物なので、
そういう時は、「出席」に〇を付けて、
当日ばっくれてやりましょう。
というわけで、
健全な深夜放送ラジオのようなブログになってしまいました。
どうしよう、これで「タクさん」が40代のおっさんだったら。
それはそれで、「自分はまだまだ若いんだ」と思えるからいいですね。
ちなみに、このようなご相談系を頂いても、
ほぼほぼお返事できませんから、
変な期待しないようにお願いしますね。
今日はたまたま、
宇多田ヒカルさんの『ともだち』という新曲をテレビで観て、
『そんな同性の叶わぬ恋心なんて、
今さら歌にするほど食い付きのいい悲劇でもなかろうに...』と、
思ってしまった自分に、
「またしらけてしまった。歳だわ...」と痛感したからです。
若い時に聴かなくてよかった...と思うぐらい、
淡々と真実を突いた「余計なお世話だわよ!」って曲なので、
機会があったら聴いてみてください。
そんな私も20代の頃に、
宇多田さんの『Addicted to you』を聴い
胸が軋んで、車をぶつけたことがあります。
「若さ」って感じでしょ?