酒井法子さんのヒット曲『1億のスマイル』(1988年)に、
♪気合い入れて 恋したいの♪
という一節があります。
当時まだ中学に上がりたてだった私は、
ご機嫌なメロディーと、
かわいらしい歌声に乗って、
突き刺さってくるこのフレーズに、
爽やかな青春の本性を見た気がしました。
王道な若さの裏には、
絶えず根性や人情や忍耐があって、
そこを乗り切れた人だけが、
爽やかな笑顔を身につけられる……。
まさに高校球児の世界そのもの。
当時の私には、
どだい無理な話で、
まさにこれから始まろうとしている、
自分の青春期に、
ちょっとした絶望を覚えた記憶があります。
そしてお察しの通り、
私は10代・20代を都合よく居直り、
大きく道を外したまま、
今だに、
『王道』と呼ばれる生き方に、
憧れと劣等感を持っています。
しかも嘘か誠か、
その爽快さは、
40代からでも取り戻せたりするはずだと、
信じて疑っていないため、
結局今も騙し騙し生きています。
若さとか清らかさとか透明感といった、
実は刹那的で儚くて、
実態なんてあるはずのないものと、
覚悟を決めて向き合いながら、
それを全うしようと戦い続けている人を見るたびに、
私は圧倒されます。
打ちのめされた気分になります。
しかし一方で、
それに心躍らせている自分も常にいて、
その躍動感こそが、
私の生きる原動力になっているような気がするのです。
そして最近気づいたのは、
ケバさと爽やかさは、
実は背中合わせなんだということ。
だとしたら、
爽やかさをぶちかますための役者は、
私の中にも、
もう充分揃っているはずです。
あとは『気合い』のみ……。
そんなことを痛感した昨日の『5時に夢中!』。
それでもなお、
いや、
色々とっ散らかした後だからこそ、
生身の自分に甘えることなく、
ノリPを貫き通す酒井さんを見て、
やはりこの人は、
今も昔も、
気合いの女なんだなと、
改めて感じました。
とは言っても、
気合いの入れ方が、
いまだによく分かっていない私です。
凄い厚化粧で出てみるとか?
凄い切り込みのレオタードで歌うとか?
とりあえず基礎体温をつけるとか?
なるほど。
私にとっての気合いの入れ方って、
より現実逃避することなのかも。
背ければ背けるほどに、
より浮き立つ素顔と現実。
それならそれで。
そこんとこ夜露死苦!