私がしているような仕事って、


言ってしまえば、


例えばテレビ画面なんかを通して、


人々の日常の中に、


ふっと現れては、


ふっと消える、


『通りすがり』みたいなものじゃないですか。





流れてしまえば、


それは、


5分前の出来事、


昨日の出来事、


今は憶えていても、


いつか忘れられる出来事になっていくわけで、




それでも何度か、


『通りすがり』をしていれば、


やがて親しみなんかも抱いてもらえたり、


『また観たい』と思ってもらえたり、


もしくは、


何も感じてもらえぬままだったり、




とても曖昧で、


ほとんど実感の掴めない中に、


なんとなく成り立っています。



誰かの日常の中における、


通りすがりな出来事なんてものは、


ほんのちょっとした非日常で充分、


だけど、


それって結構大事なことだ…と信じながら、


私はこの仕事をしています。





なくても死にはしないし、


あってもそこまで得はしなくても、


あったらちょっと面白いもの。


それこそが、


豊かさなんじゃないかな…と。





そんな『通りすがり』に、


こんなにもたくさんの人が、


立ち止まって観てくれたり、


何かを感じてくれたり、


それを、


こうしてわざわざ伝えに、


記しに来てくださるというのは、




なくて当然と思っている実感を、


ひしひしと抱かせてくれる瞬間です。




私にとっては、


お金にも若さにも代えがたい、


とっても『豊か』な瞬間です。




変テコリンな格好して、


通りすがっててよかったわ~と、


何かが報われたような、


そんな気にさせてくれる瞬間です。



報われた気になってるぐらいが、


いちばん幸せなのかも知れません。




ありがとうござ今さらジロー。





小・中学時代を過ごしたPutneyという街です。



お洒落な通りすがりでしょ?




どこででも異邦人でいられることって、


最高の贅沢よね?