突然ですが、
本来アイドルというのは、
職業でもジャンルでも策略でもなく、
『存在の仕方』であって、
例えば、
『カリスマ』とか、
『マドンナ』とかと同じで、
「なりたい。」と思って目指すものでも、
目指せるものでもない。
ホント、
突然ごめんなさいね。
しかし、
今となっては、
特に芸能の世界においては、
『アイドル』というものは、
ひとつのジャンルとして確立しているわけで、
当然、
「アイドルになりたい!」という意志のもと、
アイドルを仕事にしている人たちは、
わんさかいらっしゃいます。
その内、
『カリスマ』なんてのも、
職業として成立するようになって、
「大きくなったらカリスマになるのが夢です。」などと、
声高らかに言う子供が出てきて、
品川か田町辺りに、
『カリスマ養成スクール』なるものも出来るかも知れません。
ホント、
突然私は何を言ってるんでしょうか。
で、
今のアイドルと言われている歌手の人たちなんかを見ていると、
実に『上手に』アイドルを『やっているな~』と思う訳で、
その安定した揺るぎない、
一点の曇りもなさそうな輝きには、
確かに目を奪われることは多々あります。
『アイドル力』
『アイドル名人』
『アイドルの達人』
そんな矛盾した言葉をふと思い浮かべてしまうほど、
巧みな人たちが今はたくさんいます。
ただ、
私の世代なんかが観て育ったアイドルってものは、
もっとこう不安定で、
無自覚で、
危なっかしくて、
はかなげなものでした。
だからこそ、
『今日のこの表情、この歌、この踊りは、もう二度と観られないんじゃないか・・・・・・。』という、
焦りにも似た想いを抱かせ、
巻き戻しや再生が不可能なその一瞬に、
釘付けになったのだと思います。
正解はおろか、
お手本もなかった時代だったからこそ、
そこには、
とてつもない勝負があり、
苛酷な運命があり、
絶対に見逃せない、
圧倒的な輝きがありました。
ですから突然、
私に何があったのかというと、
そんな『一瞬一瞬を見逃せない』ようなアイドルを、
久しぶりに見つけた!
ということを言いたかっただけなんです。
その人というのは、
フィギュアスケートの、
羽生結弦くんです。
私は小さい頃から、
アイドルを観ても、
キャーキャーする習性はない代わりに、
ただひたすら焦りながら、
その日の姿を焼き付け、
目まぐるしく変化していく様に、
切なくなる・・・・・・という、
変な鑑賞体質があるのですが、
ついぞ忘れていたその感覚を、
羽生くんの演技によって、
呼び起こされてしまったわけです。
生放送の歌番組に、
毎日かじり付きながら、
明菜ちゃんや静香ちゃんの、
『刹那』に、
ソワソワしながら身を固くしていた、
あの感覚です。
びっくりすることに、、
羽生くんを観ていて抱く『この感覚』が、
『あの感覚』だと気付くのに、
2年以上かかってしまいました。
それぐらい、
情報が手軽になり、
希少価値が薄らいだことで、
感情が慣習化され平坦になり、
そして、
私も歳をとり、
鈍くなったということなのかも知れません。
ぼーっとしていました。
でも今は焦っています。
あの頃のように、
焦っています。
一週間後、
一ヶ月後はおろか、
明日にはもう、
「別の違う何かになってしまうんじゃないか。」という想いを抱かせてくれる。
それぐらい彼の演技、
そして存在は、
『アイドル』です。
もともとフィギュアスケートの『生き物感』だったり、
『勝負感』というのは、
かつてのアイドル歌謡に通ずるところはあるのですが、
ここまで10代の儚さと激しさが、
粗く生々しく出てる子は久しぶりに見たような気がします。
今の10代なんて、
もっと卒なく生きているものだとばかり思っていました。
というわけで、
今年の冬は、
羽生くんのショートプログラム、
『パリの散歩道』を見ながら、
毎日焦っている私です。
突然すいませんでした。
もちろん、
百恵ちゃんの引退コンサートのような、
高橋大輔くんの揺るぎない美しさも、
とうとう最後まで、
自分の意志を曲げずに、
ひたすら一本道を貫き通した、
浅田真央さんの姿も、
ただただ感慨深い今シーズンです。
そして、
12月の『スポーツ酒場・語り亭』(BS-1)は、
フィギュア特集です。
来週の土曜日(30日)の24時から放送です。
久しぶりに焦って、
舞い上がっている私の姿も含め、
また近日中に改めてお知らせいたします。
大人になると、
宣伝までするのです。
突然すいませんでした。
ごめんください。